西田さんは福島県出身。時折、福島弁が出る素朴な語り口調も魅力で、21年に出演した情報番組では、東日本大震災で悲しむ被災者のVTRが流れると「つらいでしょう…でも頑張って生きていきましょう」と号泣。俳優、そして個人として、人間の喜怒哀楽に寄り添う生涯だった。

★自宅には鑑識官が出入り

訃報を受けて、都内の閑静な住宅街にある西田さんの自宅には昼過ぎから約30人の報道陣が集まった。近くの道路数カ所に規制線が張られ、複数の捜査員が警備。鑑識官が出入りするなど物々しい雰囲気に包まれた。

15時半頃に担架が自宅に持ち込まれると、報道陣から見えないように警察官がブルーシートで包囲。その後、遺体を乗せたとみられる担架が車に運ばれた。

近所のそば店が実家という40代女性は「そばが好きで、お店に来られていた。来るとサインをくれたり、『いつも応援してくれてありがとう』と握手をしてくれたり、本当に気さくな方でした」と振り返った。

■西田　敏行（にしだ・としゆき）

1947（昭和22）年11月4日生まれ、福島県出身。70年に劇団青年座に入団。78年に日本テレビ系「西遊記」に猪八戒役で出演。NHK大河ドラマは84年の「山河燃ゆ」、95年の「八代将軍吉宗」など4作で主演。94年に舞台「屋根の上のバイオリン弾き」でテヴィエ役に抜擢された。89、94年は日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、2003年はブルーリボン賞主演男優賞を受賞。18年に旭日小綬章を受章。協同組合日本俳優連合理事長も務めていた。