東邦ラス工業、エキスパンドメタル値上げ。4月出荷からキロ15円以上
エキスパンドメタルメーカーの東邦ラス工業(本社・東京都新宿区、社長・永井信太郎氏)は4月出荷分からエキスパンドメタル製品価格をキロ当たり15円以上引き上げた。原材料の鋼板価格の上昇分に加え、金型費用や機械オイル、梱包資材などの副資材、さらには運賃や労務費のコストアップもあり、安定供給の継続に不可欠と判断した。板厚が薄く意匠性の高いアートメタルも5~10%を値上げする。 原材料の鋼板価格は鉄鋼メーカー各社が相次いで値上げを発表済み。エキスパンドメタルの製造に不可欠な金型などの副資材類のコストアップも進んでおり、さらに2024年問題への対応に伴う物流費の上昇や、操業に欠かせない人材の確保・定着に向けた労務費のアップにも直面している。 同社では製造拠点の福島工場において、生産体制の見直しや全社的なコスト削減を実施してきたが、「さまざまなコストアップは自助努力で吸収できる範囲を超えており、安定生産・供給のために値上げに踏み切る」(永井社長)とし、各需要家に理解を求めていく。 永井社長は「物流費は運送会社から強い値上げ要望を受けている。また物価高に対応するため、従業員の生活を守るため賃金の引き上げも避けられない」と話し、「原材料や諸コストの価格動向次第では、さらなる値上げも有り得る」としている。 エキスパンドメタルは、工場の歩廊や床張り、階段、防護柵、間仕切り向けなど主に建築分野や機械部品などに使われる金属製品。同社では自社で切断・切り欠き以外に、鉄板(リブ)とエキスパンドメタルを一体化した「リブX」や、レーザー切断機の定盤専用の「カットシート」、意匠用のアルミエキスパンド(ATシリーズ)などの独自製品も製造する。