味の素とキユーピー、競合タッグ。「他社製OK」のマヨネーズ“ボトル”リサイクル実証へ
食品大手の味の素とマヨネーズ大手のキユーピーが、マヨネーズの「ボトル」のリサイクルに向けて、競合同士タッグを組んで実証を進めていく。 【全画像をみる】味の素とキユーピー、競合タッグ。「他社製OK」のマヨネーズ“ボトル”リサイクル実証へ 両社は6月20日、渋谷区にあるキユーピー本社で記者会見を開催。7月1日から神奈川県川崎市のイトーヨーカドー溝ノ口店内に回収ボックスを設置し、販売会社を問わず「使用済みのマヨネーズボトル」の回収実証をスタートする。 2025年6月30日までの1年間で、100kg以上の使用済みマヨネーズボトルの回収を目指す。
マヨネーズボトルのリサイクルは難しい
「プラスチック」と言っても、ペットボトルに使われるPETから、PP(ポリプロピレン)、ポリエチレン(PE)など、さまざまな種類が存在し、それぞれリサイクルなどの取り組みを進めていく必要がある。 今回味の素とキユーピーが注目した、マヨネーズボトルに使われている材料は、プラスチックの中でもPE(ポリエチレン)と呼ばれる素材だ。 PE製のボトルは、飲料用のペットボトルのように単一な素材(モノマテリアル)として使われるよりも、PE以外の素材も複合的に組み合わせて使われることが多く、それがこれまでPE製ボトルのリサイクルを難しくする要因にもなっていた。
マヨボトルを店舗で回収…どこまでできるか
今回の味の素とキユーピーの取り組みは、両社が参画している海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた官民プラットフォーム「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(CLOMA)の活動でマテリアルリサイクルに着目する中で始まったものだという。 味の素サステナビリティ推進部環境グループ長の島淳人氏は 「CLOMAの活動の中で、無色透明でリサイクルしやすいポリエチレンの素材で、現状リサイクルシステムが確立されていないマヨネーズボトルに着目しました。 我々2社はバリューチェーン全体との接点を持っておりますので、関係する企業の皆様と一緒に、リサイクルシステムを作っていこうと思っています」 と経緯と狙いを語る。 味の素は「ピュアセレクト」シリーズ、キユーピーは「キユーピーマヨネーズ」を販売している、それぞれがマヨネーズ業界の大手だ。 この2社で国内シェアの約75%を占めており、重さにして3500トン程度のマヨネーズボトルを使用しているという。 今回の取り組みでは、「マヨネーズ」に限定しながらも、他社も含めたのボトルを神奈川県川崎市にあるイトーヨーカードー溝ノ口店に設置したボックスで回収する。 消費者はマヨネーズボトルのフタやシールを剥がした上で、中身を洗浄し、ハサミで切断して乾燥させてから回収ボックスに投函するイメージだ。 ペットボトルリサイクルと比べると、若干手間が多いが、それも含めてどういった回収システムが適切なのか検証する狙いがある。 回収したときに混入する異物や洗浄具合など、回収システムを構築する上での課題を調査する意味合いも強い。 なお、集められた素材は、まだ開発が完了していない再生ボトルの開発サンプルとして活用される見込みだ。 「今後この取り組みを広く展開することを目指しまして、まずは回収における課題の把握に努めるとともに、使用済みマヨネーズボトルのリサイクル技術の開発を進めてまいります」(味の素・島氏) 今回のマヨネーズボトルの回収実証は、2025年6月30日まで継続される。再生PEを使ったマヨネーズボトルの実装の目処については、現段階ではまだ開発途上であることなどを理由に、具体的な日程感などは公開されなかった。
三ツ村 崇志