奥様は“自分にとってのすべて” 佐藤二朗さん(55)「妻にはのろけるなよって怒られます」|STORY
今回の舞台が動き出したきっかけ
今回の舞台の企画が動き出したのは、佐藤さんが脚本を手掛けた関西テレビのドラマ『だんらん』の演出家が、事業部に異動してプロデューサーになり、佐藤さんに連絡をくれたことがきっかけだったそうです。 「その人は僕の脚本を気に入ってくれて、連ドラの企画とかをしょっちゅうくれていたんですけど、連ドラを書く才能は僕にはないと思い、いつも『僕には無理です。僕が書くとしたら、自分が監督をする映画か舞台です』っていうふうに断っていたんです。そしたら、彼がドラマの部署から舞台やイベントをやる部署に異動したその日に、電話を掛けてきてくれたんです。『カンテレと一緒に、ちからわざをやりませんか。好きなことを書いていいですから』って」 ちょうどその頃、佐藤さんが奥様に「これ聴いてみたら」と薦められて聴いたのが、ミュージシャン・中村佳穂さんの「そのいのち」という曲。「この曲が流れる物語を書きたい!」と触発されて執筆したのが、戯曲としては12年ぶりの新作となる今回の作品です。 「いい曲を教えてくれて、妻には感謝しています。そういえば『はるヲうるひと』で、ある重要なシーンについてのヒントをくれたのも妻でした。やっぱり一人で書いていると、どうしても煮詰まっちゃったりすることがあるので、そういう時に違う角度からヒントをもらうと、ふっと道が開けることがあって。まあ、しょっちゅうではないし、箸にも棒にもかからない意見を言われることもありますけど……って、そんなこと言ったら怒られるか(笑)」 愛妻の存在は、「自分にとっての“全て”」だと、佐藤さんはちょっと照れながらも話します。 「もういろんなところで言ってるし、酔っぱらってTwitter(X)にも書いたりするので、妻に『のろけるなよ』って怒られるんですよ(笑)。僕の投稿を読んで『ほっこりしました』ってコメントをくれる方もいらっしゃるけれども、絶対に『けっ!』と思ってる人もいるでしょうから、あんまり言わないようにはしています。でも、自分にとってどういう存在かと聞かれたら、やっぱり“全て”ということになるんですよね。実際、自分が今ここにいるのは、半分ぐらい妻のおかげだとよく言ったりしています。もしかすると半分以上、いや5分の4ぐらいかもしれない(笑)」。