奥様は“自分にとってのすべて” 佐藤二朗さん(55)「妻にはのろけるなよって怒られます」|STORY
個性派俳優として知られ、歴史番組の司会としても活躍する佐藤二朗さん。演劇ユニット「ちからわざ」を主宰し、脚本家、映画監督としても実力を発揮している彼が書き下ろし、宮沢りえさんらと共演する舞台『そのいのち』が11月に東京、兵庫、宮城で上演されます。インタビュー後半では“負を力に”が自身のテーマだという佐藤さんに、ご家族の話や今後の展望について伺いました。 【写真あり】さすが個性派俳優!インタビュー時の佐藤二朗さん(55歳)
自身で立ち上げた演劇ユニット「ちからわざ」
いまや個性派俳優として様々な作品で大活躍している佐藤二朗さんは、愛知県出身で現在55歳。俳優になりたいと思い始めたのは小学生の頃でした。 「ちょっと前までは、小学校4年生の時の学習発表会がきっかけだったというふうに話していたんです。確かに、それもあるとは思うんだけど、考えたらその前から、テレビで山田太一さんとか倉本聰さんのドラマを食い入るように見ていたんですよ。山田さんの作品も、倉本さんの作品も、大人が見るドラマじゃないですか。それを、小学生の時から食い入るように見てたんだから、ちょっとマセたガキですよね。“この時に、このきっかけで役者になろうと思った”というのは覚えてないけど、そういったことも影響しているんじゃないかと思います」 愛知の高校から信州大学経済学部へ進学し、新卒で入社した会社を1日で退職した佐藤さんは、一度帰郷した後、上京して俳優養成所等で芝居の勉強を始めます。けれど、自分には俳優としての適性がないと感じて、小さな広告代理店に再就職。しかしながら俳優になるという夢を捨てきれず、1996年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げしました。 「旗揚げ当初は、僕が作・演出もやっていたんですが、第4回公演から演出は堤 泰之さんにやってもらっています。ただ実は、ちからわざはこの10年、休眠状態だったんです。理由の一つは、全部自腹で公演をやっていたから。2014年に『はるヲうるひと』という作品を再演した時に、下北沢の定員170人くらいの大好きな小屋(劇場)で、思い切って14ステージやったんです。でも、ありがたいことにお客さんはいっぱいだったのに、黒字にはならなかったんです。それまででいちばん少ない赤字ではあったけど、稽古も含めて2ヶ月間、ドラマと映画の話を断って、頭も金髪にしてやって、赤字が10数万円出た。その時は、子供がまだ2歳くらいで、妻からは『次にちからわざをやる時は、少し考えてね』というふうに言われました。それでなんとなく、やらないままになってしまって」