【デデデデ】脚本・吉田玲子が目指したイキイキとしたキャラクター描写
2014年に連載開始となった浅野いにおによるマンガ『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(以下:デデデデ)』がアニメ映画化されることとなった。2本立てで公開される本作は『前章』が2024年3月22日より公開され、現在大好評公開中。その続きが描かれる『後章』は2024年5月24日に公開されることが発表されており、多くの人が公開を心待ちにしている。 アニメージュプラスでは本作のシリーズ構成・脚本を担当した吉田玲子さんにインタビュー。『前章』制作の裏話や『後章』制作の苦労を訊いた。 【関連画像】『デデデデ』の前後編の名シーンやKVを見る!(21枚) ――今作に参加することとなった経緯を教えてください。 吉田 浅野先生から推薦いただいたのが本作参加のきっかけでした。もともと『デデデデ』を2本の劇場作品にするという企画が進んでおり、脚本家をどうするかという話になっていた中で浅野先生が推薦してくれたのが私だったそうです。浅野先生自身が『けいおん!』シリーズをご覧いただいており私にお声がけしてくれたとのことでしたね。 ――原作は以前から読んでいたのでしょうか? 吉田 タイトルは知っていましたが、ご依頼をいただいてから原作に触れました。その時にまず感じたのは「こういう社会、実在しうるな」ということでした。“侵略者が日本にやってくる”という事件こそ突飛であるものの、それに対する人々の思惑や行動の描写は丁寧で現実的。そこには事件を利用しようと思う人もいれば、収束させようと行動する人もいるんですよね。その人々の動きはカオスでありながらリアルだと感じました。 ――近年、本作が持つリアルさは一段と色濃くなったように思います。 吉田 それはありますね。本作の脚本執筆をスタートさせた時はまだコロナ禍にあり、打ち合わせでもみんなマスクをしていた。普通に続くと思っていた日常が崩壊してしまうのを体感したばかりでした。なので原作を読ませていただき「未来を予言したかのような作品だな」とも感じました。 ――その後、脚本制作に取り掛かったかと思います。作業に入った際のお気持ちはいかがでしたか? 吉田 最初は不安が大きかったです。原作は巻数も多く、設定もかなり入り組んでいる。それを2本の映画、約4時間にまとめるのは簡単なことではないと感じました。一方で、脚本制作に対してワクワクした気持ちもありましたね。本作に登場するキャラクターはみんな魅力的で、彼女たちが喋ったり動いたりする映像は素敵なものになると思わされましたから。 ――中でも魅力を感じたキャラクターは誰ですか? 吉田 凰蘭ですね。彼女は繊細だけれどよく喋る。自分の発想からは生まれてこない人物だと感じ、惹きつけられました。 ――もうひとりの主人公・門出の印象もお聞きしたいです。 吉田 繊細な面を持っており、世界と上手く折り合いがつけられていない。それゆえに傷つきやすいところは凰蘭と似ていると感じました。一方で、彼女は周囲のことを気遣っていながら生きている。考えを全て吐き出さず、抑えるべきところは抑えている。そこは凰蘭と対照的だと思いました。 ――浅野先生からは脚本制作にあたってリクエストはありましたか? 吉田 浅野先生からは門出と凰蘭をイキイキと描いてほしいとお話をいただきました。結果、ふたりのことが愛おしく見えてくる作品にしてもらいたいと。なので門出と凰蘭の感情や関係性が描かれるエピソードを軸に物語を再構成していきました。一方で、彼女たちを取り巻く状況の変化、政府の対応や国際関係に関してのエピソードは、ストーリーを理解できる程度には入れるようにしました。。残された時間の中で描いていくようにしていきましたね。