青木真也がよく使う「バカだなぁ」に込めた意味 ネットが“クソリプ”で荒れるシンプルな理由【青木が斬る】
箱庭化の一番分かりやすい例は「選挙」
箱庭化を加速させたのがSNSであることは想像に難くない。しかしSNSができるよりも前の時代、ネットの普及をリアルタイムで目撃してきた世代は“インターネット”に対して別の見方をしていたという。 「なんか俺たちのちょっと上の世代ってインターネットってすごく開かれていて、もっと政治を、野球を、すべてのジャンルで開かれた意見ができる革命的なものだっていう意識があったのよ。正直俺も最初はインターネットは全世界とつながれて可能性があるものだと思った」 ネットの本格的な普及から数十年たった。当初想像していたものと「全然違ってた」と振り返る。 「ネットは自分の好きな人と好きなジャンルで結び合えるわけじゃん。だからより一層コミュニティー化していくんですよ。それがいまのエンタメであり、今の全てのものと言えますね」 興味のある情報を検索しているだけでSNSで表示されるものは自分の好きなものだらけになっていく。クリエイター側はnote、X、YouTube、voicyなどさまざまな媒体を個人で持つことができるため、箱庭を作りやすい。一方でSNS流行前はチケットの「手売り」のように直接つながりを持つことが必要だった。 一番分かりやすい例が「選挙」だ。東京都では都知事選が「七夕決戦」と名付けられ、報道、選挙活動ともに熱が帯びてきている。選挙には箱庭化していく上で大切なことが隠されている。 「経団連とか団体いろいろあるけど、結局選挙って自分たちの票田を持っているかどうかじゃないですか。握手をどれだけしたかということじゃないですか。SNSができて思想、共感、信念を簡単に伝えられるようになって商売はしやすくなったが、みんなが見落としていて、実は一番大事なことはこの“つながり”なんですよね」 業界問わず著名人などの「ポップアップショップ」が昨今はやっている。ファンはグッズを直接購入することができ、時間が合えば推している著名人にリアルで会うことができるイベントだ。ネット上で完結せず、一見手間のようにも見えるが、こうしたつながりを持つイベントの大切さをとある格闘家を例に説く。 「ある格闘家が地方に行ってその土地の道場に行って、道着を着て一緒に練習するんですよ。そしてその地元の大きなショッピングモールとかでポップアップショップをやる。これが人集まるんですよ。自分でつながりを作って客も呼べるわけです。彼は優秀なビジネスパーソンだと思います。だから商売において箱庭を作るのは怠けない方がいいですよ」 現代ではSNSのフォロワー数、再生回数はもちろん大事。より踏み込んだつながりを持つにはアナログな方法が一番強い。「『お願いします』って握手することですよね」とうなずいた。