「ホテル税」は実現 東京都が導入検討した「パチンコ税」とは
消費税の10%への引き上げが2017年4月1日に迫っています。消費税論議とともに軽減税率の導入も議論されていますが、その制度設計をめぐって与党内でも意見は統一できていません。麻生太郎財務大臣は「軽減税率は面倒くさい」と発言するなど、軽減税率の導入に消極的な姿勢を示しています。軽減税率を導入すれば、それだけ税収が減るからです。 【図】パチンコに課税? 携帯にも? 法人減税に代わる財源案続々 その一方で、国民の支持を得ながら導入を断念した税金もあります。自民党税制調査会が昨年に検討していた「パチンコ税」です。
東京都が検討した「4つの税」
パチンコ税の導入をめぐっては、新聞各紙の世論調査で賛成が7~8割を占めています。そういう意味では、消費税よりもパチンコ税の方が社会的同意を得ているといえます。自民党税調はパチンコ税の導入を見送っていますが、実は東京都は、自民党よりも早くからパチンコ税の導入を検討していました。 「2000(平成12)年に施行された地方分権一括法によって、地方自治体の権限が強化されました。その流れで、東京都の諮問機関である東京都税制調査会は、『大型ディーゼル車高速道路利用税』『産業廃棄物税』『ホテル税』『パチンコ税』について導入の可能性を答申しています。その答申を受けて、石原慎太郎都知事(当時)が法定外税の検討を指示したのです」(東京都主税局税制課) 「法定外税」とは、自治体が独自に条例で定める税金をいいます。石原都政では時限的に銀行に課税する「銀行税」が注目を集めましたが、これは地方税法の枠内にあるため、法定外税ではありません。ちなみに、銀行税はその後に外形標準課税という税目に姿を変え、いまでは東京都のみならずほかの自治体でも導入されています。
2002年に「ホテル税」を導入
都税制調査会が答申した4つの法定外税のうち、2002年に宿泊税(通称:ホテル税)が施行されています。 「ホテル税は1人1泊1万円以上の部屋に宿泊した場合に100円、1万5000円以上部屋の場合は150円が課税される仕組みです。ホテル税を導入するにあたり、学生の修学旅行やビジネスマンの出張が東京を避けてしまう事態をなくすため、こうした仕組みになりました。ホテル税による税収は、観光情報センターをはじめ公共施設や駅などでの外国語表記など、観光インフラの整備費用に充てています」(同) 奇しくも、昨今は訪日外国人観光客が増加したことにより、ホテル税は増収傾向にあります。昨年度は約17億円の税収になっています。