「ホテル税」は実現 東京都が導入検討した「パチンコ税」とは
いまだに実現に至らない「3つの税」
鳴り物入りで導入されたホテル税の出だしはまずまずですが、ホテル税以外の法定外税は、いまだに施行されずに現在に至っています。業界からの反対が強いことと想像できますが、これらの法定外税が制定されないのは、どういった理由があるのでしょうか? 「『大型ディーゼル車高速道路利用税』は、ディーゼル車の排出ガスによる大気汚染が深刻化していることから検討されたものですが、東京都が環境条例を制定したことやトラック業界が率先して粒子状物質減少装置の装着を徹底させるなど環境改善への取り組みが進みました。そうした成果もあって、大型ディーゼル車高速道路利用税は創設されなかったのです。また『産業廃棄物税』は、事業所からの排出を抑制することが目的ですが、これは東京都だけが創設しても意味がなく、関東一円の都県や市町村とも連携しなければなりません。足並みを揃える必要性があることから、導入には至りませんでした」(東京都主税局税制課) このほかパチンコ税はスムーズに導入されると思われましたが、これも実現していません。
環境対策を主眼にした「パチンコ税」
東京都が構想したパチンコ税は、自民党税制調査会が検討したパチンコ税とは大きな違いがあります。それは、自民党のパチンコ税がIR(統合型リゾート)法案との歩調を合わせて検討されたのに対して、東京都のパチンコ税は環境対策を主眼にしていることです。 「当時の都内にはパチンコ台が約30万台あるとされており、毎年のように新しい台が入れ替えられる状況にありました。古くなった台は廃棄されるのですが、パチンコ台は部品数も多く、構造が複雑で、原材料も金属・プラスチックも多種多様でリサイクル率が低かったのです。新台に課税すれば、一つのパチンコ台を長く使用させるとともに廃棄を抑制する効果もあります。また、パチンコ税の導入で中古台の普及促進にもつながると判断されたのです。しかし、パチンコ業界から自主的にリユース・リサイクルする機運が高まったので、パチンコ税は見送りになりました」(東京都主税局税制課) 法定外税は税収を増やすことが主目的ではなく、環境保全や産業振興といった都が抱える政策課題を解決するためのもので、あくまで業界を狙い撃ちする意図はないといいます。そのため、「業界団体や市民の意識が高まって問題が解決されるようならば、税を制定しないこともある」(同)のです。