藤懸逃げれば波乱が起きる ベリーヴィーナス初タイトルへ21年の再現だ/マーメイドS
日曜京都メインのマーメイドS(G3、芝2000メートル、16日)では、藤懸貴志騎手(31)に注目だ。21年には10番人気シャムロックヒルで逃げ切って重賞初制覇を達成するなど、夏の荒れる牝馬重賞とは好相性。コンビを組むベリーヴィーナス(牝5、鈴木孝)は、そのシャムロックヒルと同じキズナ産駒で同じ逃げ脚質。再現ムードが漂う。 ◇ ◇ ◇ 藤懸騎手はマーメイドSといい縁がある。デビュー2年目の12年、初めて重賞に騎乗したのがこのレースだった。騎乗馬クリスマスキャロルは7番人気ながら、いきなり2着。21年のシャムロックヒルではスイスイと逃げて、自身の重賞初制覇を果たした。「うれしい気持ちでしたね。(重賞を)1つ勝てたことが今の励みになっているし、何度も重賞を勝ちたいと思えた1勝でした」と振り返る。 今年の相棒ベリーヴィーナスは、シャムロックヒルと同じキズナ産駒。「似たところがありますよ」と言う。さらに、脚質的にも逃げて連勝中。「走ることに対してすごく前向きで一生懸命走ってくれます」と評価する。コンビを組んだのは前走だけだが「控えた時の映像を見ると、気分良く走ってるようには見えなかったです。他の馬に合わせるのではなく、この子のリズムで走らせたいです。前走も抑えたら少し力んでいました」としっかり把握している。 今回は同型もいる。どういったレースになるのかは「枠順とスタート次第」とのことだが、ポジションはおのずと決まってくる。重馬場で勝った2走前の走りから道悪もOK。上がり馬の勢い、パートナーとの巧みなコンタクト、藤懸騎手のレース相性の良さで、馬にとっては初タイトル、自身は2つ目の重賞勝ちといきたいところだ。【明神理浩】 ◆荒れる重賞 マーメイドSは上位人気馬にとって受難のレースだ。過去10年で1番人気の勝利は、14年ディアデラマドレと昨年のビッグリボンの2勝だけ。2、4、5番人気は勝利がなく、3番人気もわずか1勝(17年)。他の7年は6番人気以下の馬が勝っており、特に18、21、22年と3勝を挙げる10番人気馬の活躍が目立っている。