広島・アドゥワ6回0封「自分の仕事はできた」 自己最多7勝目スルリも無四球好投 意図的に腕の振り緩め巨人打線翻弄
「広島2-9巨人」(11日、マツダスタジアム) 八回までの広島の試合運びは完璧に近かった。その象徴は先発・アドゥワ誠投手の好投だった。グリフィンとの投手戦で6回2安打無失点。自己最多の7勝目はならなかったものの、「自分の仕事はできたと思う」と淡々とした表情で振り返った。 【写真】失速の広島 勝負の9月に弱点浮き彫りに グラウンドを見つめる新井監督 小さな変化が効いた。この2カ月で3度目の巨人戦登板。「ここ最近連続で対戦しているので、ちょっと変えるだけでも変わるかなと思って投げた」。意図的にスライダーの腕の振りを緩めて、いつもよりも曲がり幅を増やした。その結果、二塁すら踏ませない無四球の投球。四回先頭では前日の試合で一発を放っていた坂本をスライダーで空振り三振に斬るなど、相手を翻弄(ほんろう)した。 前回登板の4日・DeNA戦(横浜)は初回に5失点し、4敗目を喫していた。新井監督からは「探りすぎていたように見えた」と消極的だった試合への入りを指摘された。反省を胸にこの日は、初回から腕を振り、堂々たる姿をマウンド上で披露。「丁寧なピッチングができるわけでもないので、いけるところまで腕を振る」という姿勢が好投に結びついた。 チームは悲劇的な形での敗戦となった。右腕は悲愴(ひそう)感を漂わせてマウンドからベンチに下がる栗林を最前線で出迎えた。「とりあえず自分のできることをやるだけ」。どんな時でも平常心を貫き、次なる戦いへ臨む。