箱根駅伝Stories/中央学大・近田陽路 絶対的エースをお手本に 「自分のやってきたことを信じている」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 中央学大のエントリー選手名鑑をチェック!
前回の経験を糧に成長
「あの経験があるから今があると思っています」。そう語る中央学大の近田陽路(3年)にとって「あの経験」とは、9区で区間最下位に沈んだ今年の第100回箱根駅伝だ。 「1週間前までは調子が良かったのですが、初めての箱根駅伝で緊張しました。当日は曇りで、思ったよりも涼しかった。走る前にあまり水分を摂らずにスタートしたら、脱水のような感じになってしまって・・・・・・」 本来の力を発揮できず、チームは15位から21位に転落する。中央学大としては25年ぶりの鶴見中継所での繰り上げスタートとなった。「タスキを(10区の)キャプテン・飯塚達也さん(現・山陽特殊製鋼)につなげなかったのが、1番悔いに残ります」。近田はあの日を思い出すと、今でも胸の奥がチクリと痛む。 しかし、ただ「悔しい」だけで終わらなかった。「次の箱根では9区で区間賞を取る」と心に決め、ジョグの距離を延ばすなど、それまでの練習を見直した。すると、2月の丸亀ハーフマラソンで従来の自己記録を1分07秒も更新する1時間2分08秒の大幅自己新。さらに3月の日本学生ハーフでは、2位集団の中で残り1kmからロングスパートを仕掛け、1時間2分19秒で2位を占めた。 「学生ハーフは特に目標を立てませんでしたが、いざ走り出すと上位で走ることができて、途中で『これは1位か2位に行けるんじゃないか』と。そこから自分の出せる力をすべて出し切ったら2位でゴールできました。かなり自信がつきました」 新年度が始まり、3年生となった近田。上級生として、また、新チームが始動した時に就任した副キャプテンとして、「走りの面だけでなく、他の人から慕われるような、本当に尊敬されるような人にならないといけない」と考えた。 お手本にしたのは、チームの絶対的エースで、強烈なキャプテンシーを持つ吉田礼志(4年)だ。「礼志さんの背中を追って、あの人がどんなふうに行動しているかを見て、真似できる部分は真似をしました」と話す。 「(川崎勇二)監督もよく言っていることですが、挨拶や掃除、時間の厳守は今まで以上に徹底するようにしました。勉強も苦手ですが、しっかり出席して、苦手なりにも単位は取得できるように努力しているつもりです」 競技面でもレベルアップするためにやれることはすべてやった。「自分はスピードが足りません。そこを鍛えるためにも日々のジョグが終わった後に流しを少し多く走ったり、 体幹が弱いので、下腹部を強くするためにダンベルを持って補強をしたり。走りの根本である持久力を培うためにも、人一倍走ることも続けました」。