リーゼントボクサー和気が涙の1年ぶりTKO再起
古口ジムを離れることになって、複数の大手ジムから誘いはあったが、和気は、武蔵野に移転してきたFLARE山上ジムの赤井祥彦代表に白紙の移籍契約書を持参したという。赤井祥彦代表は「うちみたいな弱小を選んでくれた。その気持ちに応えなければならないというプレッシャーは僕にもある。強くならなければ意味がない」と、ロス、ラスベガス、フィリピンと、海外のジムを巡る武者修行をサポートした。 2階級制覇の世界王者らを育てたフィリピン人トレーナーのレイ・オライス氏とタッグを組み、「パンチが流れる悪い癖がなくなりバランスがよくなった」と和気。この日もアップライトな姿勢を保ち連打を放った。ステップインの浅さが気になったが、バランスがキープされているから攻守の連動がスムーズだった。 「まだ力みがあるが、この1年は必要な1年だったと思う」 この日、リングに登場した和気は、確かにブラッシュアップされていた。 今後は世界再挑戦が焦点となるが、和気はいつものビッグマウスを封印した。 「まだ世界ランクにも入っていないのに、小国さんに挑戦したいなんて言える立場ではない。次は世界ランカーとやりたいし、そこで勝ってから、大口をたたきますよ。スーパーバンタムに和気あり、と思わせるように一歩づつ前へ進みたい」 9月13日に対戦する小国と岩佐の勝者は、グスマン陣営が持っているオプションを消化しなければならないため和気が挑戦するまでには時間がかかる。WBA同級王者の久保隼(真正)も9月3日に同級2位のダニエル・ローマン(米国)と対防衛戦を控えている。一度は、試合を断った過去のあるWBA同級のスーパー王者であるギレルモ・リゴンドー(キューバ)も、モイセス・フローレス(メキシコ)とのダイレクトリマッチをWBAから指令されていて、まだ先行きは不透明。日本人ボクサーが3人も絡んでいる世界のスーパーバンタム戦線だが、和気が、ビッグマウスを解禁する頃には、ターゲットも絞られてくるのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)