青木崇高、『化け猫あんずちゃん』撮影現場でTシャツ&猫耳姿の森山未來は「ふざけている?」と勘違い!
日仏合作映画『化け猫あんずちゃん』(公開中)の公開初日舞台挨拶が7月19日、TOHOシネマズ日比谷にて開催され、五藤希愛、青木崇高、市川実和子ら出演者と監督を務めた久野遥子、山下敦弘が登壇した。 【写真を見る】市川美和子&青木崇高が自由なトークを展開し、会場は大爆笑 本作は、『1秒先の彼』(23)の山下監督とアニメーション作家の久野監督がタッグを組み、いましろたかしの同名コミックを日仏合作で映画化した長編アニメーション。アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門に出品され、今年のカンヌ国際映画祭監督週間にて正式上映された本作は、この日のイベントで10月にスペインで開催される第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭への選出も発表され、世界中から熱視線を浴び続けている。本作の制作には役者の芝居の実写映像をアニメに落とし込むという「ロトスコープ」という手法を採用した。 「自分がアニメになっていることがとても不思議」と語った市川は、作品が出来上がったいまも心の底から驚き、不思議な気持ちが強まっているという。市川と同じく、撮影当時「ロトスコープ」がピンと来ていなかったと明かした青木は、撮影時に黄色いTシャツにパンツとラフな格好で、猫耳をつけていたあんずちゃん役の森山未來の姿を見て、ふざけた格好で芝居をしているのかと思ったそう。しかし実は、アニメに落とし込む上で、大切な格好だったと説明を受けたそうで、「全然知らなくて。あいつ、相変わらずふざけているなと思っていて」とニヤリ。続けて「汗だくになって一生懸命やっていたことを後で知りました」と明かす場面も。撮影は2022年の夏。撮影の思い出は“暑さ”と話した青木は、「撮影後のビールがすごくおいしかったのを覚えています」と満面の笑みを浮かべていた。 本作でほぼ初めて、芝居に挑んだと振り返った五藤は「撮影中はこんな大きなスクリーンの前に立つとは思っていなかった」とのこと。芝居も大変だったが、青木や市川の前で「緊張に耐えるのが大変でした」と告白。「お芝居、初めてだったの?」と目を丸くした市川から「とても堂々たる、という感じでした」と褒められると、喜びに溢れる笑みを浮かべていた。 構想8年。実際に動き始めたのはフランスのスタジオから声がかかった時からだった。久野監督は「軽いノリでやりたいと言ったものが、こんなことになって。うれしいやら、緊張するやらで(笑)」と話し、最初の3年は山下監督とやりたいことを自由に楽しく話していたとも明かしていた。 印象に残っているシーンについて市川は「私が演じたお母さんがいるのは地獄で妖怪がいっぱいいて。学芸会みたいな格好をした大人たちが、テキトーな衣装でワーワー(芝居を)やっているのがかわいくて。すごくいい現場だなと思いながら、すごくいい気分でお芝居をしました」と笑顔。「それがあんなにすてきな映像になるとは!」とやはり話題は「ロトスコープ」へとつながっていく。「本当に映画になるのかな、なんて思っていて」と当時の心境を語った市川に対し、山下監督は「俳優陣には説明が足りなかったのかな?(妖怪たちの芝居の)熱量はすごかったけれど…」と撮れ高に満足しながらも苦笑い。森山のTシャツに猫耳のように、妖怪役の役者たちはキャラクターの色をイメージしたタイツ姿で芝居をしていたようで、市川は大人たちのその姿がとても愛らしかったと強調。山下監督も「そういう人たちが喫煙所でタバコを吸っている。とてもすてきでした」と撮影現場の様子をレポートしていた。 この日の青木は左腕に白い包帯を巻いていたが、これは、自身が演じた哲也というキャラクターをイメージしたもの。実際には怪我をしていないと明かし、「控え室で思いついて、薬局でタオルと包帯を買ってきてもらったのですが、巻くのが早すぎた。着替えやごはんを食べるのが大変でした」と話すと、観客もクスクス。キャラクターをイメージした衣装で来たという市川が「青木さんの包帯を見て、私、コスプレが足りなかったと思ってしまった…」とコメントすると、青木は「コスプレじゃないよ。イメージね!」と笑いながら訂正する場面もあった。 イベント中盤で、カンヌ、アヌシーにも参加したあんずちゃんのパペットも登場。山下監督がパペットを手にすると、慣れた様子で観客に挨拶し、大きな拍手を浴びた後には、この日登壇が叶わなかった森山からのビデオメッセージも上映された。森山は「ほんわかしている(作品だ)けど、実はいろいろやっています」と本作のこだわりに触れ、猫らしく「ロウニャクニャンニョ(老若男女)、幅広く楽しんでほしいです!」と呼びかけ、会場を和やかなムードに包み込んだ。 最後の挨拶で山下監督は「8年という時間をかけて今日公開。うれしいけれど僕らのもとから僕らの手元から離れていく感じがしてちょっぴり寂しい気持ちもあります」と心境を吐露。続けて「すごく時間はかかったけれど、フランスと日本、すばらしいスタッフ、キャストが集まっていいものが出来ました。気に入ったら周りの人にすすめてください!」とリクエスト。久野監督は「すごく贅沢な時間を『あんずちゃん』からもらった気分。ある意味独り占め、(山下監督と)ふたり占めしていた時間が長かったので…」としみじみ。山下監督と同じく、ちょっと寂しい気持ちがあるとしながらも、たくさんの方に楽しんでほしいと呼びかけ、ほんわかしたイベントを締めくくった。 取材・文/タナカシノブ