「野良犬がうろつく廃虚」が徳島一のにぎわいエリアに。倉庫街を変貌させたNPOの原点 構想から10年、県の協力を得て規制緩和
▽まちづくりの主体は住民 万代中央ふ頭で現在使用できる20棟の倉庫には古着屋や家具店、貸しスペース、企業のオフィスなど約30の事業者が入り、新たに一棟まるごと使える倉庫はない。この地域は、国土交通省の「手作り郷土賞」の大賞に輝くなど複数の表彰を受けた。アクア・チッタの岡部さんは「みんなが主体のまちづくり」ができていると胸を張る。 人口が25万人を切った徳島市は、四国4県の県庁所在地で最も人口が少ない。市中心部の商店街はシャッター街となり、県内唯一の百貨店も2020年に閉店した。県全体で過疎化が進む。県の担当者は「水辺の空間を生かした街の形成で、さらなるにぎわい創出に取り組みたい」と話し万代中央ふ頭に望みを託す。 今後は倉庫街の隅々まで歩いてもらえるようにすることが課題と、岡部さんは考えている。東西500メートルほどだが、目当ての店舗を訪れると倉庫街を後にしてしまう人が多い。訪れる人の増加に伴い、周辺には車がずらりと並ぶようになった。これでは水辺ならではの景観が損なわれてしまう。
岡部さんは新たな構想を練っている。「駐車場は別の場所に移し、アスファルトはウッドデッキの遊歩道に。ふらっと立ち寄れる土産物店の開店や、水辺の立地を生かして船やヨットの活用もしたい」と考えている。