【マン島TTレース】公道レースでは「予選」はどのように行なわれている?
マン島TTレースの予選は、どのように行なわれるのでしょうか
1周60kmもの距離がある公道レース、「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」は、決勝レースは10秒ごとに1台ずつスタートする「タイムトライアル」方式で実施されますが、予選はどのように行なうのでしょうか。 【画像】マン島TTレースの「予選」の模様を画像で見る(7枚)
TTレースは「タイムトライアル」レースですし、1レース180kmから360kmもの長い距離を走るので、クローズドサーキットでの一斉スタート方式のようにグリッド順はあまりレースの行方に関係しません。ホールショットも存在しません。 しかもTTレース決勝のスタート順は、あらかじめ前年のラップタイムを考慮して定められたゼッケンのソロ(2輪のこと)上位20番とサイドカー10番まではゼッケン順にスタートとなります。このため、予選のラップタイム順位はレースの結果にはほとんど関係ないと言えます。 では、何のためにTTレースでは予選を行うのでしょうか。 TTレースにおける予選とは、ひとつは決勝進出できるかどうかの足切りタイムという意味があります。また、安全を考慮してソロ20番・サイドカー10番以降は、予選のラップタイムを考慮したグリッド順のスタートとなります。これは、レース中の追い越しがなるべく発生しないようにさせるための方策です。
そして、一番大事なのは、コースの習熟のためです。 TTレースは公道レース、かつ1周60kmもある長大なコースを使うため、コースをレーシングアベレージで走れるのは公道が閉鎖されるレース期間中しかありません。 もちろん、普段は公道なので、双方通行の左側通行でなら走行することはできますが、一部、速度規制もあるので(※マン島は基本的には速度規制がありません)法律を遵守しなければなりません。 このため、予選は決勝レース前に5日間の日程が設定されています。 2019年までTTレースでは長年、予選のことを「プラクティス」、つまり練習走行と呼んでいました。プラクティスは事実上の予選でしたが、TTレースならではの背景があったため、特別な名称となっていました。 コロナ禍の休止を挟んで復活した2022年からは「クオリファイ(予選)」と名称が変更されました。これは、TTレースをよりトップクラスのモータースポーツとして印象付けたいという主催者の狙いがあると思われます。