「とにかく涙が止まらない」「やる気がなくなり、会社を欠勤した」愛するペットを喪った飼い主に起こる“ペットロス”の症状とは
ペットを喪った飼い主に起こる「ペットロス」の症状
「ペットが天寿を全うする」ということを、多くの人が理想としているので、その真逆の「安楽死」に対しては、否定的に思われる方もいるかもしれません。それがまた飼い主の中に「悔い」として残されて小さな波大きな波となって幾度となく打ち寄せ苦しめます。 「もっと生かしてあげられれば」 「もっと他の治療もしてあげればよかったんじゃないか」 もっと、もっと……。 周囲からは十分にやってあげていたように見えても、飼い主の後悔はつきません。保護しなければならないのに自分のせいで喪った、その罪悪感さえ持つといわれます。 しかし、そのような後悔や自責の念を抱いている飼い主さんこそ、責任感が強くペットのために献身的に尽くしていた方なのです。 「とにかく涙が止まらない」 「やる気がなくなり、会社を欠勤した」 「人とコミュニケーションがとれなくなった」 「胸に悲しみが詰まって、苦しくて吐きそう」 「ひとりになるのが怖い」 「立っていられなくなる」 「自分の人生が無駄な気がする」 これらは実際に私が飼い主さんたちから聞いた言葉です。 泣く、眠れない、食欲がなくなる、頭痛がする、胃の痛みや吐き気がする、胸が締めつけられる、喉が詰まるなど、身体の不調を訴えたり、悲しみ、怒り、自責感情、憂うつ、孤独、無力感などの心の痛みを訴える方もいます。他にはひとりになりたい、頭が混乱する、集中できないなどもしばしば報告されています。 この中には一見、ペットロスが原因とは思えない症状もあります。また、飼い主自身も気づかないことさえあるので注意が必要です。 ある男性は、食欲が落ち、眠れず、無力感や罪悪感に苛まれていました。身体的な病気は見つからず原因不明でしたがよくよく話を聞いてみると、これらの不調がペットが亡くなったことに起因することが判明し、本人も信じられずに驚いていました。この男性の場合、ペットが死んだくらいで男が泣いてはいけない、といった考えが悲しみを表現しづらくさせてしまい、自信が無意識のうちに悲しむことを許さなかったので、ますます辛くなっていったようです。実際はペットを喪ったことで精神的に落ち込み、身体的な不調につながってしまっていたのです。 「自分の命を10年削っても、あの子の命を1年取り戻したい」飼い主の深い悲しみと罪悪感…つらい“ペットロス”を乗り越えるための2つのプロセス へ続く
濱野 佐代子/Webオリジナル(外部転載)