パリス・ヒルトン、悩めるティーンのために戦う。元お騒がせセレブの現在
60年代に始まったこのような更生施設の問題は80年代から取り沙汰されていたものの、反抗期のティーンに対処できない親にとっては悩みが一つ消える方が重要だったのかもしれない。パリス自身はプロボ・キャニオン・スクールに送り込んだ両親を恨んではおらず、TTIの欺瞞的なマーケティングを非難している。「私の両親が受け取ったプロボ・キャニオン・スクールのパンフレットには子どもたちが笑顔で馬に乗っていて、本当に美しくて幸せな場所に見えたの。でも、どの写真も学校で撮影されたものではなく、ストック写真だった。最も傷つきやすい時期の子どもを持つ家族に彼らは嘘を売っているの」とパリスは言う。
立ち上がったパリス達
パンフレットが嘘なのは、プロボ・キャニオン・スクールで過ごすことになったパリスにはすぐにわかったはず。医師が診断・処方したわけではない薬を与えられ、明晰な判断ができない状態だったという。そんな無防備なティーン少女たちを施設スタッフは保護するどころか、婦人科検診という名目で肉体を弄んだというのだから最悪だ。ドキュメンタリー映画が配信された直後、プロボ・キャニオン・スクールの閉校を求める嘆願書への署名を求めるChange.orgの活動がスタート。翌月にはパリスとサバイバーたちが「閉鎖せよ」というプラカードを掲げて、スクール前で無言で抗議する運動をおこなっている。
パリスの告発がTTIの元生徒たちを突き動かし、トラウマを抱えながらも過失と虐待の物語を共有し、再生することで心の傷を癒そうという運動がスタートした。パリスのドキュメンタリーによって問題が顕在化したことを受け、2021年3月にブレイキング コード サイレンス(Breaking Code Silence)というNPO団体が立ち上がり、彼女は文字通りサバイバーのポスター・ガールとなっている。
パリスはブレイキング コード サイレンス(Breaking Code Silence)との協力し合いながら、TTIサバイバーを支援する運動で主導的な役割を担い、変化を求めるサバイバーたちと共闘中だ。パリスの強い味方となっているのが同じくサバイバーである政策コンサルタントのキャロライン・コールと、11:11メディアの責任者レベッカ・グローンだ。二人は2022年にポッドキャスト「Trapped in Treatment(原題)」を制作し、TTI業界内の異なる治療施設やプログラム群に焦点を当て、実情を暴露した。