パリス・ヒルトン、悩めるティーンのために戦う。元お騒がせセレブの現在
映画よりひどい現実
第1シーズンで取り上げたのは、パリスがひどい目に遭ったプロボ・キャニオン・スクール。施設の専門精神科医師ユージン・ソーンの悪行やTTIをビッグ・ビジネスの機会とみなした創設者ロバート・クライストとジャック・ウィリアムズの素顔、サバイバーたちの悲惨すぎる体験が語られ、背筋が寒くなる。第2シーズンは、キャロラインが送り込まれた別の施設に焦点を当て、その誕生から運営手法を暴露するという。どちらの施設も恐怖に満ちていて、『17歳のカルテ』(’99)に登場した施設がある意味、非常に健全だったと感じられるほどだ。
なぜ違反にならないのか?
ポッドキャストから浮かび上がるのは、TTIがアメリカの法システムの編み目をくぐり抜けて存在しているという恐ろしい事実。TTI業界を根本的に改革するには、元凶を断つのが一番と考えたパリスたちは、政界や法曹界にも働きかけている。連邦法案を提出するためにワシントンに赴いて国会議事堂に出廷し、さまざまな州を訪問しては州議会議員に会い、記者会見を開いてきた。8つの州の法案に取り組み、「施設内児童虐待防止法」を成立させることに成功しているし、政策転換が加速したという。パリスたちの働きかけのおかげで現在、カリフォルニア州とニューハンプシャー州で「施設内児童虐待防止法」に関する2つの法案が上院を通過し、それぞれの州知事の署名待ち状態という。
ティーンのサポートに尽力
ポッドキャストを制作するに当たって、パリスは「私が10代の頃、誰かが私のために立ち上がってくれていたら、私は地球上で一番幸せな人間になっていただろうと、ずっと考えていました」とコメントしている。「10代の若者たちの力になれることは、私がこれまでしてきた仕事の中で最も重要なことです。そして、これが今の私の生きがいです」というパリスの活動は、アメリカ国内だけにとどまらない。2021年には北アイルランドの学校における厳格なルールを緩めるよう活動する#harryslaw への支持を表明。メディアの注目が一気に増えた同国の政治家はプレッシャーを感じ、法整備を整えたという。