センバツ2022 準々決勝 大阪桐蔭、圧倒劇/金光大阪、夏誓い /大阪
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第94回センバツは大会第9日の28日、準々決勝4試合があり、府勢2校が登場した。第4試合で大阪桐蔭(大東市)は市和歌山(和歌山)を17―0で降し、準決勝に進んだ。試合は大会第10日(30日)の第2試合で、国学院久我山(東京)と対戦する。第2試合の金光大阪(高槻市)は、近江(滋賀)に1―6で敗れたが、今大会で「甲子園初勝利」を目指したナインが2勝を挙げたことに、約2600人の応援団から大きな拍手が贈られた。【山口一朗、隈元悠太、山口敬人】 ◆大阪桐蔭 ◇猛攻、やまぬアーチ 三塁側アルプス席に何度もヒットマーチが響き、拍手は鳴りやむことがなかった。18安打6本塁打の猛攻と、継投した前田悠伍(2年)ら3投手が被安打計1に押さえ込み、市和歌山を圧倒。大阪桐蔭は優勝した第90回大会(2018年)以来、4年ぶりの4強入りを決めた。 2点リードの五回、谷口勇人選手(3年)の放った打球は大きなアーチを描いてバックスクリーンに飛び込んだ。ここから打線がつながりを見せ、星子天真主将(同)も3ランを放つなど、この回一挙に4点を奪った。 続く六回、先頭の伊藤櫂人選手(同)が打球をスタンドにたたき込むと更に勢いづいた。再び打席が回ってきた伊藤選手は、また本塁打。岐阜県から応援に駆けつけた母の真由さん(40)は「なかなか打てなかった1回戦の雪辱を果たす大活躍をしてくれて本当によかった」と喜んだ。この回は打者11人の猛攻で8得点。その後も、七回に海老根優大選手(3年)の2ランなどで得点を重ねた。 投手陣も快投を見せた。最速145キロの速球が持ち味の先発・前田投手は6回を投げ被安打1、12奪三振、続いた別所孝亮投手(同)、南恒誠投手(2年)も無安打に抑え込んだ。 九回、南投手が市和歌山の最終打者を遊ゴロに打ち取って試合は終了。選手たちは、万感の思いで校歌を歌った。応援していた吹奏楽部の宮崎志歩さん(3年)は「不戦勝になり応援できなかった2回戦の分も選手たちには応援した。選手たちにはこのまま優勝まで駆け上がってほしい」と話した。 ◆金光大阪 ◇歴史残した 雄姿に拍手 九回2死走者なし。金光大阪の打者が中飛に倒れると、三塁側アルプス席から大きなため息が漏れた。だがすぐに「甲子園2勝を成し遂げた」選手たちへのねぎらいの拍手が響いた。 一回に守りのミスもあり、先制されたが、その後は金光大阪・古川温生(3年)、近江・山田陽翔(3年)両投手の投手戦。金光大阪は四回に福冨龍之介選手(2年)の内野安打や送りバントなどで1死三塁とし、4番・岸本紘一主将(3年)の左前適時打で同点。だが、その裏、近畿大会3試合で1失策の堅守にほころびが出て、再びリードを許した。 西村公延校長の隣では、2002年の第74回大会に初出場した当時の校長、片山剛さん(81)が今大会初観戦。「勝った2試合は感無量。きょうも、よく頑張ってくれている」と、ほほ笑んだ。 1点を追う七回の好機が生かせず、その裏途中から古川投手に代わり、中堅から左腕・福冨選手がマウンドへ。母美香さん(44)は両手を組んで祈りながら「頑張れ」と小さな声を出した。追加点を奪われたが父龍馬さん(44)は「いつもどおりにやってくれた」と語った。 この3試合は攻撃中、吹奏楽部が休みなく演奏を続けた。同部顧問の浜田幸美さん(49)は「選手たちの一生懸命な姿はかっこ良かった。吹奏楽部員もよくやった」と語った。 ◇成長してもう一度 ○…1回戦138球、2回戦160球、準々決勝114球の計412球を投げた金光大阪の主戦・古川温生投手は近江に敗れて、「悔しい気持ちでいっぱい」と語った。3試合の自責点はわずか「1」。先輩たちが勝てなかった甲子園で2勝を挙げた原動力の1人だ。だが、昨秋の近畿大会準々決勝で近江と対戦した際、170球を投げて完投したものの、9安打6失点を喫していたことから、この日も「変な部分でそういう(苦手)意識が働いてしまった」と明かす。今後は「古川がマウンドに立てば大丈夫と思ってもらえる投手になることが一つの目標。そういう投手になり、夏に甲子園に帰ってきたい」と語った。