「児童手当」の財源どうなる?年3兆6000億円規模の予算が追加へ
12月11日に「こども未来戦略会議」が開催されました。 こども未来戦略会議とは、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の具体案や財源を議論するための会議です。 【写真で見る】「こども未来戦略」案。新たに年3兆6000億円規模の予算が追加へ。財源は? 「こども未来戦略会議」では「こども未来戦略」の案が示され、その中で最も注目を集めているのが財源です。 「児童手当」を始めとした多岐にわたるこども・子育て支援策には大きなお金がかかります。 「本当に財源が確保できるの?」「別の負担が降りかかるのでは?」など、さまざまな思いを持つ人が多いからかもしれません。 今回は、「児童手当」を始めとしたこども・子育て支援策の財源と多岐にわたる支援策をまとめます。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
注目のこども・子育て支援策の財源は?
「こども未来戦略」案によれば、「加速化プラン」に対して2024~2026年度までの3年間で国・地方あわせて新たに年3兆6000億円規模の予算が追加されました。 3兆6000億円もの予算の内訳は、次のとおりです。 1.ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組:1.7兆円程度 2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充:1兆3000億円程度 3.共働き・共育ての推進:6000億円程度 1年あたり3兆6000億円という大きな予算の財源の確保は、既定予算の最大限の活用や、2028年度までに徹底した歳出改革等を行い公費節減するなどがもとになる、支援金制度で行われるようです。 歳出改革は、医療・介護保険制度等の改革を中心に行われますが、実際に確保できる予定は2028年度。 それまで財源不足が生じないよう「こども・子育て支援特例公債(こども金庫が発行する特会債)の発行なども行われるとのことです。
新たな子育て支援策にはどんなものがあるの?
政府が打ち出した「異次元の少子化対策」は多岐にわたります。 どのようなものがあるのか支援策のうちの主なもの概要を確認しておきましょう。 ●こども・子育て支援策の目玉「児童手当」とは 「児童手当」とは、子どもを養育している保護者に対して支払われる給付金で、子どもが中学校を卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)するまでもらえます。 受給額は年齢ごとに以下のように決まっています。 【児童手当の受給額】 ・0~3歳未満:月1万5000円 ・3歳~小学生:月1万円(第3子以降は月1万5000円) ・中学生:月1万円 児童手当は、2月(10~1月分)・6月(2~5月分)・10月(6~9月分)の年3回、4カ月分をまとめてもらいます。 ●今後、児童手当が大きく拡充 児童手当拡充のポイントは「対象期間」と「第3子に対する給付金」です。 児童手当の今までの対象期間は、中学校を卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)まででした。 今後は、高校を卒業(18歳に達する日以後の最初の3月31日)までになります。 また、第3子以降の支給額が現在の1万5000円から3万円になります。 また、高校を卒業したら「こども」とカウントしなくなり、以下のような扱いになります。 ・高校卒業:対象外 ・中学校2年生:第1子 ・小学校6年生:第2子 さらに、現在は約1000万円以上の収入がある親に対して、児童手当等が支給されていませんが、今後は、所得制限が完全撤廃されます。 ●出産費用の保険適用 2026(令和8)年度をめどに、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含めて、出産に関する支援がさらに強化されます。 ●全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充~「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設~ 子育て家庭の多くで「孤立した育児」による不安や悩みが問題になっています。 その悩みにこたえるため、親の就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できるようになります。 ●育児休業給付の給付率を8割程度(手取りで10割相当)に引き上げ 夫の家事・育児関連時間を増やし、共働き・共育てを定着させていくことを目標にしています。 そのための対応として、「産後パパ育休」(最大28日間)を念頭に、子どもが生まれた後に両親ともに一定期間、育児休業を取得することを促進するため、2025年度からの育児休業給付の給付率を現行の 67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで10割相当)へと引き上げます。