エアコンのついてない部屋に「10分」いただけで頭痛がした今年の夏。熱中症は「短時間」でも発症するものなのでしょうか?
短時間でも熱中症は発症してしまうのでしょうか。熱中症を発症する理由やリスクを解説し、電気代と治療費を比較します。また、エアコンがない環境での注意点や熱中症を防ぐための対策についても解説します。 ▼エアコンを「24時間」つけっぱなしだと、電気代はいくらかかる? 1ヶ月の電気代を試算
熱中症が短時間で発症する理由とは
体温が上がったときに体内の塩分のバランスが崩れてしまうことで、体温の調節機能が働かなくなるケースがあります。やがて体温上昇やめまい、頭痛、けいれんなどの症状が発生します。この状態が「熱中症」です。 汗をかくと水分や塩分が体外に出てしまうため、水分・塩分の補給が必要です。特に高温多湿で風が弱い場合、体から外気への熱放散が減少するため汗の蒸発も不十分となり、熱中症を発症しやすくなります。 総務省がまとめた「令和6年7月の熱中症による救急搬送状況」によると、救急搬送人員は4万3195人ですが、発生場所別の救急搬送人員をみると「住居」が最も多く1万7638人と全体の40.8%を占めています。 家のなかで静かにじっとしていても、部屋の気温や湿度より熱中症にかかることもあるため注意が必要です。
エアコンの電気代と治療費の比較
最小消費電力が0.105kW、最大消費電力が0.92kW、定格の消費電力が0.5kWのエアコンを例に、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している電気料金の目安単価31円/kWhをベースに冷房を使ったときの電気代の目安を算出します。 まず1時間あたりの最小電気代は3.3円、最大電気代は28.5円です。定格電気代は15.5円となります。この場合は1時間あたりの電気代目安は「15.5円」となり、エアコンを最小能力で使った場合と最大能力で使った場合で変動する電気代は3.3円~28.5円となります。 エアコンのカタログなどを見ると消費電力(期間合計(年間))が記載されています。例えば消費電力が790kWhの場合には、年間の電気代は2万4490円です。 例えば熱中症になって点滴などの措置を受けた場合、軽症であれば8000円程度の治療費で治すことができます。 しかし、大きな病院に救急車で搬送され軽症と判断された場合、「紹介状を持たずに外来受診する患者」と同等となり、選定療養費として7700円などを別途徴収される恐れがあり、1万円以上はかかってしまうかもしれません。 そして重症となり1泊2日の入院をした場合、医療機関ではかかる費用を0時起算することから、2日分の費用がかかることになります。 入院1日あたりの自己負担費用は平均2万700円であるため、2万700円×2日=4万1400円と4万円強の治療費がかかることになってしまうのです。エアコンの年間電気代よりも多くの金額がかかるため、金額的な意味でも高温多湿の部屋ではエアコンはつけたほうがよいでしょう。