凶器あり、ハードコアマッチに挑む51歳 “弾丸戦士”の肉体づくりに迫る【田中将斗(後編)】
実際の試合を見れば、スライディングⅮの高い精度が伝わるだろう。スピード、威力がまったく落ちないのも、コンディションを高い位置でキープしているからこそだ。フィニッシュを意識してランニングするという田中だが、普段のトレーニングではどんなことを考えながら筋トレマシンと向き合っているのだろうか。 「ボクの場合、『田中は年齢重ねても変わらないな』『アイツはいつもコンディションいいな』と言われるのがモチベーションになっているんですよね。そう思われているんだったら、ボクはそういう状態でリングに上がらないといけない。そういう意識がすごく強いです。そういうふうにしようというトレーニングをしていますし、そこを意識してのトレーニングなんですよね。ただ、マシンと向き合っているときというのは、たぶん、カッコいい体になりたいとの気持ちでやっているんだと思います。筋肉の張りを鏡で見るんですよ。そのたびに、カッコよくなってきたなとか、今日はお肉がちょっと乗ってるなとか、そんなことを考えてますね。それがかえっていいトレーニングにつながっているのかなとも思います」 カッコよくなりたい、つねにカッコいい自分でありたい。それはトレーニングに励む男性共通の思いだろう。それを実践し続けているのがプロレスラー・田中将斗であり、肉体美も追求する田中にとって、もう一つ忘れてはならないのが、“日焼け”である。
「ボクにとっては日焼けもトレーニングの一部なんですよ。筋トレ、ランニング、日焼けでセットになってます。日焼けもリングに上がるうえで欠かせないもの。ただ、『黒い』っていつから言われるようになったのか、まったくわからないんですよ(苦笑)。FMWの頃から日焼けサロンには通ってましたけど、いつからなんだろう? でも、そう言われるようになってからボクは黒く日焼けしてなくちゃいけないんだと意識するようになって。これってつねにコンディションをよくしておこうという意識ともセットなんですよね。リングに上がって体をきれいに見せるうえでも、日焼けしていたほうが見栄えもするし、スポットライトが当たったときに黒い方がカットがきれいに出やすいと思うんです」 日焼けがコスチュームの一部となって久しい田中。彼らしさがまったくブレることなく迎える7月11日の30周年記念大会。ここまで変わらずに第一線でやってこられた秘訣はどこにあるのか? 「プロレスに集中できる環境にいられたというのが一番じゃないですかね。ボクにはプロレスしかないというか、これで飯を食っていくんだという意識が高かった。FMWにしてもフリーの期間にしても、そして橋本真也さんがいたZERO1でやってきてからも。確かに苦しいときもありましたけど、プロレスで生活し、トレーニングに時間を費やせたのが大きかったと思います」 7月11日、新宿での記念試合でも、いつもと変わらぬグッドコンディションの田中が見られるはず。この大会では、2014年に最優秀タッグを受賞したときのパートナーであるNOAH杉浦貴との一騎打ち。肉体を削るような激闘は必至である。また、7月21日にはDDTプロレスのビッグマッチで両国国技館に参戦。KONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)とシングルで対戦することが決まっている。竹下はDDTとアメリカAEWを主戦場としており、かつてECW世界ヘビー級王座を保持していた田中との対戦は、世界で闘うレスラーという意味でも大注目だ。 デビューからまもなく31年。田中はこれからも、フルスロットルの弾丸戦士で闘っていく。 【大会情報】 ZERO1「弾丸戦士・田中将斗プロレス生活30周年!記念大会~D・A・N・G・A・N anniversary!新宿FACE大会!」 7月11日(木)東京・新宿FACE(開場18:30、開始19:00) 対戦カード ▼シングルマッチ田中将斗30周年記念試合(30分1本勝負) 田中将斗vs杉浦貴 ▼シングルマッチ(30分1本勝負) 永尾颯樹vs小峠篤司 ▼タッグマッチ(30分1本勝負) クリス・ヴァイス&ハートリー・ジャクソンvs松永準也&佐藤嗣崇 ▼3WAYマッチ(20分1本勝負) ウナギ・サヤカvs関根“シュレック”秀樹vs八須拳太郎 ▼6人タッグマッチ(20分1本勝負) 菅原拓也&馬場拓海&ヒデ久保田vsヤス久保田&横山佳和&リッキー・フジ ▼シングルマッチ(15分1本勝負) 朱鷺裕基vs酒井博生
取材・文・写真/新井宏 写真提供/ PROWRESTLING ZERO1 取材協力/ゴールドジム曳舟東京