第95回選抜高校野球 東海大菅生、春が来た 二松学舎は4季連続(その1) /東京
<センバツ高校野球> 第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を決める選考委員会が27日に大阪市の毎日新聞大阪本社で開かれ、都内から東海大菅生(あきる野市)と二松学舎大付(千代田区)の2校が選ばれた。東海大菅生は2年ぶり5回目、二松学舎大付は2年連続7回目の出場で、都勢のダブル出場は昨年の国学院久我山、二松学舎大付から2年連続。秋季都大会では東海大菅生が優勝、二松学舎大付が準優勝した。待ちに待った春切符を手にした両校の選手は、大舞台での活躍を誓い喜びを分かち合った。大会は3月10日の抽選会に続き、同18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕。記念大会のため例年より4校多い36校が熱戦を繰り広げる。【加藤昌平、小林遥、南茂芽育】 ◇チーム一丸、全国挑む 東海大菅生の硬式野球部員たちはユニホーム姿で校舎2階のホールに集まり、選考委員会の結果を知らせる「センバツLIVE!」のインターネット中継を見守った。午後3時45分ごろに学校名が読み上げられても硬い表情を崩さなかったが、その後の記念撮影でポーズを取るよう求められ笑顔を見せた。 同校は前日の26日、部員に暴力を振るったとして監督と部長を解任した。新体制でセンバツに臨む。決定後、峰岸英仁校長は「今回はあってはならないことがあったが、選出してもらえたことは深く感謝している。しっかり準備して菅生らしい爽やかなプレーを見せてもらいたい」と選手に語りかけた。 記者会見で、新たに就任した上田崇監督(29)は「センバツでは全力でプレーする。ワンチームで臨みたい」と強調し、「選手たちには一人一人の役割を持って野球を楽しんでやってもらえれば」と話した。 センバツの出場が決まり、選手たちも気持ちを新たにした。エースの日当(ひなた)直喜(2年)は「センバツでは自分が思っている投球ができるよう頑張りたい」、副主将の北島蒼大(そうた)(同)は「センバツでも全員で優勝を取りたい」と健闘を誓った。 チームは激戦の秋季都大会を勝ち抜き、その力が評価されての選出になった。日当は3回戦から決勝までの4試合を完投し、優勝の立役者になった。打線は北島、高橋玄樹(同)、門間丈(同)、酒井駿輔(同)がいずれも4割を超える打率で勝負強く、新井瑛喜(ひでき)(同)も決勝で2点本塁打を放つ活躍を見せた。昨夏の東東京大会を制した二松学舎大付との決勝は8―2で快勝し、総合力の高さを見せた。 そんなチームの持ち味は団結力にある。選手たちはセンバツ代表校発表前日の26日夜、気持ちを引き締めるため、日当の呼びかけで全員が髪を五厘刈りにして、発表に臨んだ。 主将の渡部奏楽(そら)(同)は監督交代について報道陣に問われ、「この壁を乗り越えたら自分たちが一つになれるチャンス。こういう時こそチーム力が問われると思うので、チーム力を武器に甲子園で戦っていきたい」と力強く話した。チームは一丸となり、全国の強豪に挑んでいくつもりだ。 ◇自立、自学、自生 教育方針掲げ 男女共学の私立校で1983年に東京菅生高校として開校し、89年に現在の校名に。自立、自学、自生を教育方針に掲げている。特別進学、総合進学の2コースがあり、総合進学コースは希望者の約9割が東海大に推薦入学する。中等部も併設している。 野球部は学校創立と同時に創部。甲子園は春夏通算で8回出場している。最高成績は2017年夏の4強。センバツは1997、2006、15、21年と4回出場し、21年は8強入り。OBに元千葉ロッテの金森敬之氏、巨人の高橋優貴らがいる。 野球以外も、近年は剣道、卓球、硬式テニスなどが全国大会に出場している。吹奏楽部は全国大会で18、19、21年度に3大会連続で金賞を獲得した。 ◇JR秋川駅前で特別号外を配布 都内から2校のセンバツ出場が決まり、毎日新聞の特別号外が学校や駅で配られた。 あきる野市のJR秋川駅前では、「東海大菅生に春切符」の見出しが躍るカラー2ページの号外が配布された。秋季都大会の戦いぶりなどを紹介しており、受け取った人々が紙面に見入っていた。東大和市の主婦、和知祥子さん(42)は「選手たちが頑張って走っている姿を見たことがある。精いっぱい頑張ってほしい」とエールを送った。 千代田区の二松学舎大付の校舎でも号外が配られ、学校関係者や生徒らが熱心に目を通していた。 〔多摩版〕