ピース・綾部祐二&又吉直樹、6年ぶりの再会。東京の思い出を巡る。
綾部祐二さんの一時帰国を機に東京の思い出を巡る旅へ。歩きながら、未来に向かっていたあの頃の話に花が咲く。そんなふたりにはどんな道が拓けているのだろう。 【記事中の画像をすべて見る】
寒空の下での練習が お笑いの神様に見初められる
穏やかな秋晴れの昼下がり。ピースのふたりは世田谷公園にいた。 綾部:この噴水、なつかしいなぁ~! 又吉:コンビを結成した2003年から、しばらくの間通ってたもんな。あの時は週イチで新ネタを作らなあかんかったから。 綾部:今日とは違って夜だけど。 又吉:そうそう。近くのファミレスでなんとなく方向性を決めてから、こっちに移動してきて。仕事が立て込んでいた日はとにかく眠くて早く帰りたかった。そういえば、あの頃から準備がいいよな。いつも防寒着まで持ってきていたし。 綾部:当たり前でしょ。冬の夜中に外で3~4時間過ごすんだから。暖かくしなきゃ。 又吉:しかも、2時間くらい経ったら、一人だけ鍋焼きうどんをすすり始めるし。あれはひどいわ~。ネタ合わせの場所に夜食を持参って、なんなん? 綾部:お前もサンドイッチとか持ってくればよかったじゃん。アイツも腹減るかもなって慮る余裕はなかったでしょ。ファミレスで運ばれてきたフライドポテトの本数を必死でカウントしていたくらい、お金がなかったんだから。誰がお前の鍋焼きうどんを買ってくるんだよ。 又吉:でも、腹が減ったら、一緒に買いに行くっていうのが普通じゃない?その時間が省かれるのは寂しいわ。 敷地内を歩くうちに若手時代の思い出が昨日のことのように蘇ってくるみたいだ。 綾部:俺らは世田谷公園に住む「お笑いの神様」に救われた気がするんだよね。コンビを組んだものの、ふたりともボケ同士だったから、しばらくの間は、フォーメーションを考えあぐねてたじゃん?そんななかでM-1グランプリに挑戦したら、まさかの一回戦で敗退。落ちる人はいないと聞いてたのに。 又吉:僕たちがスベり過ぎて、その空気に次のコンビもみごとに引っ張られてた。 綾部:それからもしばらくは、あーでもない、こーでもないを繰り返して。ここで練習していたある夜、今のスタイルがピタッとハマったんだよな。それまであった違和感が一切なくなって、お互いの持ち味がすんなりと出てきて。 又吉:ネタ合わせをしてたら、いつの間にか仕上がって、だからこの形を量産しようってなった。 綾部:きっと世田谷公園の神様が「アイツらずっとネタ合わせをしているから、ここいらでスタイルを渡してあげようか」ってなったんじゃないかと。帰り道はすごい晴れやかな気持ちでバイクを走らせた記憶がある。そこから先輩のライヴに呼んでもらえたし、賞レースにも絡めるようになった。ここは真の意味でピースが生まれた場所と言えるかもね。