ピース・綾部祐二&又吉直樹、6年ぶりの再会。東京の思い出を巡る。
〝地元の先輩的存在〟から かけがえのない相棒へ
世田谷公園の奇跡からさかのぼること4年。運命を決めたのは「NSC吉本総合芸能学院」だった。その当時、学舎のあった溜池山王を歩く。 又吉:〝ピース〟になってる。 綾部:どういうこと? 又吉:「NSC」の入っていたビル名が「平和国際ビルディング」に変わってる……。 綾部:全然気づかなかった!ここに通ってたのは1999年で、社会人を経た21歳の俺からすると、高校卒業と同時に養成所へ入ることを選んだ又吉は新鮮だったな。あと、今とは違うサッカー部特有の覇気があった。 又吉:先輩から「眼力くん」って呼ばれていましたからね。自分ではコントロールできひん部分やから恥ずかしくて。 綾部:コンビになってからは年の差はないに等しいけど、あの時は3歳も離れてるのは大きかった気がする。呼び方も「まったん」と「綾部さん」だったしね。 又吉:養成所では同期かもしれないけど、感覚としては違って、特に体育会系に身を置いていた自分からすると、2コ上の人ってめっちゃ上級生で、それよりさらに年上となると、もう、大先輩なんですよ。ある時「なんかさ、部屋にいて、水着の女の子が10人くらいワーッて入ってきたらどうする?」と聞いてきたことがあったやん。「何してるんですか?って質問します」って答えたら、ケラケラ笑って「なんで?うれしくないの?」って聞き返されたので「そんな水着の知らん人が10人もいきなり来たら怖くないですか?」と反応したら「お前、変わってんなー」って言われて。それはあんただろって心の中で思ってても、口にはできひんかったから。
満を持してのオーダーは 牛皿とお新香でごはん抜き!?
綾部:俺は「すごいことを言ってくるヤツだな」ってNSC時代に感じたことがあって。弁当店で又吉にちょっと70円貸してほしいとお願いしたのよ。そしたら「70円なんて、ちょっとの額じゃないですよ」と。 又吉:10円ならわかりますよ。でも、そんなにはみ出るなら予算内で頼むのが普通なんじゃないかと。当時の行きつけでもあった定食店で「カルビ焼き定食が絶対に一番うまい」と猛烈に推してきましたよね。他を選んだら俺のことを信用してないことになるくらいのノリで。 いろんな食卓を囲んできた彼らにとって、もっとも思い出深いのは「吉野家」になる。 綾部:あぁ、日本に戻ってきたわ~。なんだかんだで、週イチは通ってたからさ。この前、ロスでふらっと入ったピッツェリアがめちゃくちゃおいしかったのよ。おしゃれだったし。そしたら、なんと、中目黒にあるお店の系列だった。おい!結局東京かよ!って、心の中で突っ込んだけど、日本は食の偏差値がずば抜けて高いよね。 又吉:ピースになる前夜、綾部さんのバイト終わりに明治神宮でこれからのことを話して。合意をしたところで、一緒に原宿(竹下口)店へ行こうとなって、牛丼をたいらげて帰った。 綾部:そうそう、深夜にね。俺は今日も牛皿にしようーっと。 6年ぶりの来店に興奮を抑えきれない綾部さんの分も、又吉さんがタッチパネルで注文。牛丼、ポテトサラダ、味噌汁にお新香と、オーダーした品が続々と運ばれてくる。 綾部:あれ、俺の白ごはんがない…。 又吉:あ、忘れてた! 綾部:おい!さっきから熱心にポチッてたのは自分のものかよ!めっちゃ豪勢な食卓になってるじゃん。 バツが悪い表情を浮かべながらも、久しぶりの相方とのやりとりがうれしそうな又吉さん。綾部さんのごはんがよそわれたところで、仕切り直し。いざ、いただきます。 又吉:最近は小盛派やったけど、今日はテンションアガって並盛にしたわ。 ーーーーーーーーー ●綾部祐二(あやべ・ゆうじ)>> ハリウッドへ進出するためNYへ。現在はLAに住む。著書『HI, HOW ARE YOU?』(KADO KAWA)やYouTube『YUJI AYABE from AMERICA』で米国の情報を発信中。 ●又吉直樹(またよし・なおき)>> 2023年3月に10年ぶりのエッセイ集『月と散文』(KADOKAWA)を刊行。YouTube『渦』とオフィシャルコミュニティ『月と散文』は毎週更新中。 ーーーーーーーーー 【トップ画像衣装】又吉さん ニットジャケット ¥154,000、ニット ¥71,500、スウェットパンツ ¥82,500(以上アンダーカバー)/ブーツ ¥52,800(フット・ザ・コーチャー | ギャラリー・オブ・オーセンティック) 綾部さん フリースプルオーバー ¥106,700、ニット ¥97,900、パンツ ¥81,400(以上マラン | イザベル マラン 青山店)/ブーツ ¥84,700(フット・ザ・コーチャー | ギャラリー・オブ・オーセンティック) ーーーーーーーーー Photo_Taro Mizutani Styling_Naoki Ikeda Hair&Make-up_Kenichi Yaguchi Text_Mako Matsuoka
GINZA