定額減税で手取りアップ!住宅ローン控除とふるさと納税に影響する?しない?
所得税と住民税計4万円減税
税負担が1人当たり4万円軽くなる「定額減税」が6月から始まりました。減税は物価高が続いて苦しい家計の助けになる一方で、同じく税金を控除できる制度である「住宅ローン控除」や「ふるさと納税」に影響があるのではないかと気になっている人も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、定額減税が住宅ローン控除とふるさと納税に及ぼす影響の有無についてご説明します。 定額減税とは、税金を一定額減らすしくみです。 6月から実施されている定額減税では、1人当たり所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税されます。 減税の対象は、納税者本人と、その扶養家族(厳密には「同一生計配偶者または扶養親族」)です。 たとえば、夫が妻と子ども2人の3人を扶養している4人世帯の場合、合計16万円の減税が受けられます。これにより、納める税金が少なくなるので、手取りが増えます。 ただし、給与収入で年収2000万円超(厳密には自営業者らは「合計所得金額1805万円超」)の富裕層は対象外です。 定額減税により税金が減ることはうれしいですが、住宅ローン控除とふるさと納税に影響が出ないのか心配な人もいることでしょう。 まずは、住宅ローン控除から見ていきましょう。 住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて住宅を新築・取得・増改築した人が、年末のローン残高の0.7%を所得税や住民税から控除することができる制度です。住宅ローン控除では、まず所得税から差し引き、差し引けなかった分は住民税から差し引く制度となっています。しかし、住民税については差し引ける金額が「前年度課税所得×5%、最高9万7500円まで」と決まっています。そのため、定額減税によって所得税が減ってしまうと、住宅ローン控除で差し引ける金額が減るのではないか、というわけです。 しかし、定額減税は、住宅ローン控除が適用された後の所得税に適用されます。また、先に住宅ローンから控除されたことによって、定額減税分の所得税が仮に24年12月までに差し引けなかった場合は、その分が1万円単位の給付金で受け取れることになっています。ですから、定額減税は住宅ローン控除に影響を及ぼしません。 次にふるさと納税を見てみましょう。 ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄付ができる制度。寄付を行うと、2000円を超える金額について、所得税や住民税から控除できます。実は「納税」という名前がついていますが、節税になるわけではありません。しかし、実質2000円の自己負担で全国各地の特産品などを返礼品(お礼の品)として受け取れるため、たいへん人気があります。 ふるさと納税が自己負担2000円で済む寄付額の上限(控除額上限)は、年収や家族構成などによって異なります。しかし、定額減税が行われることで、控除額上限の計算で用いる「所得割額」が減ってしまう(=控除額上限が減るので、ふるさと納税ができる金額が減る)のではないかと心配する声も聞かれます。 しかし、ふるさと納税の控除額上限は、定額減税を行う前の所得割額を用いて計算するものと定められています。そのため、定額減税はふるさと納税にも影響しません。 つまり、住宅ローン控除もふるさと納税も、定額減税による影響はないということです。 定額減税を受けるに当たって、会社員、公務員は手続き不要です。勤務先が手続きをしてくれます。年金生活者も手続き不要で、年金から引かれる所得税、住民税が自動的に減るので、年金の手取りが増えます。一方、毎年確定申告を行っている自営業やフリーランスなどの場合は、24年分の確定申告(25年2~3月)を行うことで税金が減ります。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)