「どう死ぬか」ホームホスピス、笑って過ごすもうひとつの家
病気や障害があっても、今まで通りの暮らしを
にじいろのいえでは住人は基本的に自由行動。喫煙や飲酒、外出も制限なし。本人が嫌がることはしないし、自分の行動は自分で決めることができる。 住人の女性の一人は、気管切開し、人工呼吸器を装着している。入院中は、栄養を補うために、中心静脈から点滴を受け、寝たきりの状態だった。 「口から食事をしたい、という本人の気持ちを家族、スタッフ、医療チームでサポートしました」と今野さんが説明する。「すると“自分で食事が摂れるようになりたい、みんなと食卓で食べたい”と意欲が出てきて、自然に身体が動くようになりました」。 今では、車いすで他の住人と一緒に食卓を囲んでいる。 今野さんは、家庭的な雰囲気にこだわる。人がいる気配。生活の音、家の匂い。そんな家庭的で安心できる空間と、「こうしたい」をサポートしてくれるスタッフ。それが、その人をその人らしくさせてくれる、と。
最期まで自分らしく生き切る
「最期まで、生き切ってほしい」。それが今野さんの思いだ。住人の「こう過ごしたい」という思いを、最期の瞬間までサポートをする。 「“この人になら、安心して自分の最期を任せられる”。そう思ってもらえないと、最期まで一緒に過ごすことは出来ない。相手を知る努力をして、人と人との関係をちゃんと築く。そうして“ここが死に場所で良かった”と思ってほしい」 死期が迫っても、「死」を隠さないのが、にじいろのいえのスタイルだ。住人の体調が悪ければ、住人同士で気遣う。亡くなるときには、家族と共に住人・スタッフみんなで見守り、最期を看取る。住人が「よくここまで頑張ったね」と声をかけ頭を撫でる。 死は誰にでも起こる自然な現象だ。死を遠ざけず見つめることも、「最期まで生き切る」ためには必要なことなのかもしれない。 住人を看取った後も、家族とのつながりは続いていく。夕食や、イベントにも誘う。そうして、にじいろのいえはみんなの家になっていく。