監督の目指すもの/3 目標シートで達成率、互いに評価 質高い練習維持へ /香川
<第91回選抜高校野球 センバツ> 1月31日。選手たちは練習を早めに切り上げ、校内の会議室で机を囲んでいた。真剣な表情で目を通しているのは、1カ月の目標シート。高松商の練習は自主性を重んじるが、一方でモチベーションを保ち続けることが難しい。シートがあることで目標が明確になり、質の高い練習を維持することができる。毎月末にはその月の目標を達成できたかを確認するため、選手たちはお互いに「ここはよく頑張っていた」「体重あんまり増えていないな」などと意見を出し合っている。 シートでは、技術面▽体力、体格面▽メンタル▽生活面▽学習面--の五つの目標を設定し、達成するための練習方法などを記入する。目標は「球速を5キロ上げる」「体重を75キロにする」「テストで平均点以上取る」など具体的に書かれ、「肩甲骨の可動域のストレッチをする」「下半身のトレーニングを増やす」など、重点的に取り組むべきことも記されている。 目標シートは選手が使うウエートルームの壁に貼られ、いつでも確認できるようになっている。月末になると、目標ごとに達成率を記入していく。記入する際は練習を一緒にすることが多い同じポジションの選手が集まり、互いに評価しながら数字を書き込んでいき、次の月の目標を設定する。 目標シートは長尾健司監督が就任してから取り入れたものだ。目的意識を高めて日々の練習に取り組んでもらうのが狙い。「自分が常に誰かに見られていると意識すれば、自然と気が引き締まる。逆に周りに目を配ることにもなる」と、長尾監督。互いに練習の姿勢をチェックし合うことで高い意識のまま日々の練習に向かうことができる。 安部祐慧選手(2年)は「目標をたてることで毎日の練習の質を上げられる。自分が何をすればいいか具体的に分かり、効率のいい練習も可能。自分ではできていると思っていても客観的に見ると足りていない部分があると気づかせてくれるから、レベルアップにつながる」と語る。=つづく