忘年会で「二日酔い」になったときに摂りたい「朝食」の意外な顔ぶれ
酒を飲むと太るには訳がある
ビール腹とよく言うように、酒を飲むと太る。ひとつはアルコールが摂食中枢を麻痺させ、満腹感が得にくくなるためだ。アルコールと脂っこい食べ物は相性がいいため、酔うと高カロリーのつまみを際限なく食べるという悪夢の展開になる。よく知られているアルコールで太る理由がこれ。 もうひとつ、酒を飲むと太る理由がある。 「肝臓のアルコール分解には大量のエネルギーを消費するため、摂取後に体温が上がることもありますが、同時に肝臓での脂肪代謝が妨げられ、脂肪が蓄積しやすくなってしまうんですね」 酒を飲むと太るのは、カロリーを摂ってしまうことだけではなく、同時に脂肪代謝も低下してしまうことも原因なのだ。 「ウコンなどを飲む前に飲んだら二日酔いにならないとよく言われますが、気休めですね。一応アセトアルデヒドの分解促進をする物質としては、タウリンが知られていますけどね」 10年以上毎日27gエタノール(アルコール)を摂取している36~48歳の男性5人に、アルコール摂取1時間前・1時間後にタウリン(20 mg/kg 体重)を摂取させたところ、アルコール摂取1時間後には血中アルデヒド濃度が低下し、2時間後、4時間後に確認してもさらに低下していたという。(Research Communications in Substances of AbuseVolume 6, Issue 4, Pages 247~2501985) 「ただし二日酔いになるほど飲む時は、こまめに水分を取る以外に二日酔いの防止法はないと思います」
飲んだ翌朝には和食、味噌汁が最適解
二日酔いの朝、体には水分と電解質=ミネラルが足りない。肝臓の働きを助ける栄養分も欲しい。そうした条件を満たす、二日酔いの日にぴったりな朝ごはんを谷口先生に考えてもらった。 「お味噌汁は鉄板ですね。味噌のナトリウムが脱水症状を緩和。温かいスープが胃腸を整えます。昔から飲んだ翌朝にはシジミ汁が好まれてきましたが、シジミには肝臓の解毒を助けるタウリンとオルチニンが含まれています。ミネラル分も多い」 温かい汁物は、消化器を温め、塩分・水分補給にも最適だ。 「豆腐とネギの味噌汁もいいと思います。豆腐のたんぱく質が細胞の修復を助け、ネギに含まれるビタミンKには血流を適切に保つ役割があります。飲酒後の血液循環の乱れを改善することで、頭痛などの二日酔い症状の快復を早めてくれます」 いわゆる和食は二日酔いに向いている。朝ごはんの定番のシャケは、タウリンとたんぱく質が代謝を促進し、オメガ 3 が炎症を抑える。ごはんなどの炭水化物を供給すると速やかに血糖値が回復し、症状が和らげてくれる可能性がある。 「卵かけご飯もいいですね。卵に含まれるメチオニンは、肝臓内で強力な抗酸化物質であり、アセトアルデヒドの解毒をサポートするグルタチオンの生成を助けます。ごはんに梅干しもいい。梅干しのクエン酸は体内での代謝を促進して乳酸などの疲労物質の分解を助けるため、飲酒によるだるさや倦怠感を軽減してくれます」