大量集客で満足度ダウン 日本の観光地はすでに「待ったなし」状態に 観光客狙いの割高料金と「文化財を守るための値上げ」は別物 姫路城などの「二重価格」問題で議論が混乱
■「大量集客によって観光客の満足度を落とすような事態」
今、京都では外国人観光客が溢れ、地元の人が市バスに乗れないなどといったことが起こっています。対策として「時期や場所の分散化」を呼びかけていますが、成果は出ているのでしょうか。 地域が観光を受入れられるキャパシティを超えてしまうと、自然や文化財、住民の生活環境などに悪影響が出てきますが、それだけでなく、観光客も十分に楽しめず、満足度が低下します。 この状態を放置すると、住民の観光への反発が激しくなるのはもちろん、観光客の足を京都から遠ざけてしまうことにもつながりかねません。 日本人観光客の中には「京都は好きで何度も行ったが、最近は行かなくなった」という人もいるようです。 外国人観光客でにぎわっているように見える京都。 しかしその反面、「日本人観光客が離れはじめている」とすれば、それは由々しき問題でしょう。 マーケティングの視点から見ると、「大量集客によって観光客の満足度を落とすような事態」を招いては、元も子もありません。 オーバーツーリズムを防ぎ、解消する取り組みは、はじまったばかりではありますが、既に「待ったなし」の状況にあるのかもしれません。 「住んでよし、訪れてよし」の地域をめざすためには、観光の「適正規模」を考えながら、「観光客を減らす」ことも辞さない覚悟で取り組む必要があります。
観光とは、「分かち合い」だと思います。地域の恵みや持ち味、そこで育まれ伝えられてきた知恵や技を、訪れた人に分かち合うことが観光なのではないでしょうか。 美しい自然や貴重な文化遺産を守ってきた人たちがいるからこそ、われわれは旅を楽しみ、地域を楽しむことができるのです。 訪れた人が敬意を払って観光をし、その敬意を感じるからこそ、受入れる地域の人は「ようこそ」と迎える。そうした、リスペクトとウェルカムのある関係こそが、観光の理想的な姿でしょう。 いかに経済的利益をもたらすとしても、観光が生活に勝ることは許されることではありません。 コロナ禍から脱し、前に進もうとしている今、われわれはどのような観光を目指そうとしているのか、どんな観光のあり方を理想として掲げ、その実現に向けてどのような取り組みをすべきなのか。 われわれはもしかすると、未来の観光の姿を決める大事な分岐点に立っているのかもしれません。
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