セレッソ清武弘嗣にとって香川真司とは?「常に追いかけ、なかなか追い越せない存在。ふたりで牽引できれば」
── 昨年は清武選手と同年代の選手が中心となったヴィッセル神戸が悲願の初優勝を成し遂げました。彼らにも刺激を受けているのでは? 「本当にすごかったですよね。もう、感動しましたよ。特に(山口)蛍のキャプテンシーがすごかった。彼とは仲がいいので、ふだんからよく話すんですけど、あの個性的な集団を引っ張っていくために、本当にがんばっているなと。 サコ(大迫勇也)とか(酒井)高徳とかもすごいとは思いますけど『蛍あっての神戸だな』っていうのをすごく感じていた。もちろん、優勝されて悔しかったですけど、うれしい気持ちのほうが大きかったかもしれないですね」 ── 次はセレッソの番ですね。 「近年はフロンターレとマリノスが強かったですけど、去年神戸が優勝したことで、また変わってくるんじゃないですかね。そもそもJリーグはそんなに力の差がないので、正直、どこが優勝するかわからないじゃないですか。去年の神戸に関しては本当に勝負強かったし、過去の優勝チームも必ずそういう要素を持っていた。 本当に強いチームって、メンタル的に崩れないんですよね。それはベテランがうまく支えているから。それがあるから若手も思いきってできるし、成長もできる。セレッソもそういうチームだと思うので、チャンスはあると思っています」 ── 同年代の選手の活躍に刺激を受ける一方で、ロンドン五輪代表チームの盟友だった大津祐樹選手が昨シーズン限りで引退しました。 「寂しいですね。祐樹には手術をした時のドクターを紹介してもらったんで、かなりお世話になったんですよ。祐樹も去年、大ケガをして、手術をして、復帰したんですけど、復帰後の彼のプレーを見て『ここまでできるようになったんだ』って驚かされたんですよね。
そのなかで引退となったので、ショックはありました。引退する時に連絡をくれて、『あとはキヨに託した』って言ってきたので、『俺はもうちょいがんばるわ』って祐樹に返したんですけど、寂しさもあったし、自分も引退してもおかしくない年齢なんだっていうのをあらためて気づかされたんですよ。 一方で、蛍とかサコとか高徳があれだけ走って、闘って、優勝に導いた事実もあるわけで、その姿っていうのは僕自身も重ね合わせることができるもの。だから、今年1年が本当に勝負だと思っています。いつ引退という時が来てもおかしくないわけですから。まず今年は、ケガをせずに1年間走り続けること。先のことを考えるのは、そこからですかね」 <了> 【profile】清武弘嗣(きよたけ・ひろし)1989年11月12日生まれ、大分県大分市出身。大分トリニータのアカデミー出身で2008年にトップチームに昇格。2010年に大分のJ2降格・財政難に伴いセレッソ大阪へ移籍し、その後レギュラーの座を掴む。2012年から欧州に舞台を移し、ニュルンベルク(2012~2014)→ハノーファー(2014~2016)→セビージャ(2016~2017)でプレー。2017年より古巣のC大阪に所属する。日本代表43試合5得点。ポジション=MF。身長172cm、体重66kg。
原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
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