がん、アプリで在宅問診 富大附属病院 医師、患者の負担軽減
●臨床現場のDX化 富大附属病院臨床研究開発推進センターは、スマホアプリを使ってがん患者の身体・精神状態を在宅で問診する観察研究を始めた。医師や患者らの負担を軽減する富山県内初の取り組みで、臨床現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める。 【写真】IPOSスマートフォンアプリの画面 健康状態調査票(IPOS)を電子化し、来院しなくても遠隔地から回答できるようにした。医師や看護師ら医療スタッフ間で情報を共有するため、従来は紙媒体に入力した患者の情報を手作業で転記する必要などがあったが、アプリを使うと情報共有が容易になる。紙の削減や記入漏れの防止なども見込める。 高齢者の利用を想定し、アプリ内の文字やボタンを大きめにデザインした。ヘルプデスクも設け、操作に迷った場合は電話での問い合わせができるようにした。 観察研究は、消化器のがんを扱う第三内科と腫瘍内科・緩和ケア内科のがん患者を対象とする。10月11日に始まり、既に患者48人が同意した上でアプリ登録を終え、うち40人の問診が行われており、来年末までに問診の患者数を約200人にまで増やす予定だ。 産学官で富山の医薬品分野の研究開発に取り組む「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造コンソーシアムとの協働となり、2026年3月まで続く。今月10日に附属病院で会見した林篤志院長は、今回の観察研究が病院のDX化に向けた大きな一歩になると述べた。