立花家の子孫は料亭旅館を経営、徳山毛利家の子孫はYouTubeで歴史を発信……「名家」をどう次代へ受け継げばよいのか
発信を使命とする
「毛利家は平安末期から鎌倉初期に活躍した下級貴族の大江広元がルーツなので、800年の歴史があります。今から50代以上も前に系図を辿ることができる家は少ない。 元就はたしかにヒールの役割も担ったけれど、私からしたら戦国時代最高の知将。私に元就の血が流れていることが誇らしいです」 祖父の元靖は満洲から引き揚げた後、山口放送の設立に尽力し、その初代会長を務める傍ら、戦災で焼失した藩邸跡地に毛利球場を建設し、無償で貸していたという。 「私自身は東京で生まれ育ちましたが、30歳を過ぎてからサラリーマンを辞め、徳山に腰を落ち着けました。今は毛利家に残る品々や墓地を管理しています。しかしそれだけではありません。 多くの大名家はおカネがかかり、行政とのコミュニケーションがうまくいかず、墓すら管理できずに廃れていく。 そのことを危惧して、伝統と文化を発信しながら残そうと、地元でYouTube『毛利家歴史チャンネル』の配信も続けているんです」 現在のチャンネル登録者数は約1.5万人。「毛利家当主が語る3本の矢の真実!」「毛利輝元がある武将を大嫌いな理由」など、興味深いテーマの動画も多い。 「中には『大名の子孫が何をやってるんだ』と思う人もいるかもしれないが、発信こそ自分の使命だと思っています。 毛利家はいずれなくなってしまうかもしれません。でも私には息子がいるので、せめて次代までは発信しながら家を残したいですね」 家をどう繁栄させるか、あるいは次代にどう引き継ぐか―それは47都道府県の名家に共通の課題なのだ。 「週刊現代」2024年12月21日号より
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