【“食品添加物のプロ”が解説】小林製薬「紅麹問題」は“3つの基本を混同している”人があまりに多すぎだ「問題の本質」は“ここ”にある
麹菌は広く中国、東南アジア、日本などで歴史的に発酵食品に利用されて来た伝統食品です。 そして、この麹菌の一種で、赤い色素を産生する菌が「紅麹」です。 紅麹菌にも種類がいろいろあるのですが、食品に使われるのは「Monascus purpureus(モナスカス プレプレウス)」「Monascus anka(モナスカス アンカ)」という菌です。 紅麹菌は、中国では1000年以上前から使われてきたとされ、長い歴史の中で日本や東南アジアに伝えられました。きれいな赤い色がつき、見た目の華やかさもあって珍重されてきました。
日本では「紅酒」「紅甘酒」などに使われるほか、沖縄の伝統食品である「豆腐よう」も「紅麹」を使って作られる食品です。 麹については「平気で『減塩味噌』使う人が知らない超残念な真実」にも書いていますので、興味のある方はぜひご一読ください。 ■「公的な試験・安全審査」は経ていない 【2】紅麹コレステヘルプ(小林製薬) 文字通り、「紅麹」を使ったサプリメントです。 「Monascus pilosus(モナスカス ピロサス)」という「紅麹菌」を使い、米を使って培養(固体培養)し、それを高濃度にして錠剤にしたものです。
「紅麹サプリメント」そのものの歴史は、まだ数年にすぎません。 また「紅麹コレステヘルプ」は食品扱い(機能性表示食品)ですから、公的な試験・安全審査は経ていません。形は錠剤になっていても「食品」なのです。 もちろん小林製薬では独自の検査データを持っていたとは思いますが、それはまた別の話です。 ちなみに、サプリメントには、 ★国の安全審査を要する「特定保健用食品(トクホ)」 ★消費者庁の指定する栄養成分の機能だけを表示できる「栄養機能食品」
★届け出だけでいい「機能性表示食品」 があります。 「紅麹コレステヘルプ」は、届け出だけでいい「機能性表示食品」でした。この件については、次の記事で述べたいと思います。 ■「3つを混同している人」があまりに多い 【3】ベニコウジ色素 「ベニコウジ色素」は、食品に赤い色をつける食品添加物です。「モナスカス色素」とも表示されます。 「Monascus purpureus(モナスカス プレプレウス)」という「紅麹菌」を使い、「液体培養法」という方法を用いて培養し、色素のみを取り出します。液体培養法は不純物を管理しやすい方法です。