野菜、ケーキ、揚げ物まで! 驚異の乾燥技術、フリーズドライ工場に単独取材㊦
「アマノフーズ」ブランドでフリーズドライみそ汁市場1位を誇るアサヒグループ食品の岡山工場(岡山県里庄町)に、産経新聞が全国紙として初めて単独取材に入った。災害備蓄食として近年、注目を集めるフリーズドライ食品。開発部門を訪ねると、チキンカツカレー、肉吸いなど多様なメニューが次々と登場し、果ては果物やスイーツまで。そのまま乾燥させる技術の「すごみ」を実感した。 【写真】フリーズドライ加工された野菜や果物、ショートケーキ ■「フリーズドライ御膳」 広大な工場敷地内の一隅に、キッチンを備えた研究室のような部屋がある。中心部には大きめのオーブントースターほどのフリーズドライ機(乾燥機)。新商品開発を担当する「アマノブランド企画室」だ。 工場内を取材した記者に、自慢の品々を出してくれた。チキンカツカレー、五目とろろ、肉吸い、食後の柚子しょうが湯まである、題して「フリーズドライ御膳」。いずれも最初はブロック状だが、お湯を注いで少しなじませると10~30秒で乾燥前の料理に戻った。 食欲をそそるスパイスのにおいに誘われ、商品化もされているチキンカツカレーをいただいた。戻した湯で、ルーはスープカレーのようなサラサラに。肉はしっかり元に戻っているが、乾燥していた名残のサクサク感が、かえって「カツ」を感じさせる。 試作段階という肉吸いは、汁から牛脂の甘みがふわりと香る逸品だった。肉質は柔らかく、だしは懐石料理かと思うほど。汁にはとろみがあり、豆腐にもしっかりとだしが染み込んでいる。 一時商品化したという五目とろろは、お湯をかけて混ぜる度にどろっとしていく。ホウレンソウはシャキシャキの食感。これまただしが本格的で、ご飯にかけても楽しめそうだ。 ■「十中八九がおいしいと思える味に」 ラインナップにない試作品は、まだまだ出てきた。 「たこ飯」は、具材部分がフリーズドライで、ご飯と一緒に炊いて完成させる。たこのしっかりした食感が再現されていた。「麻婆豆腐」は汗が出るほど本格的な辛さだが、豆腐に味が染みてちょうどいい。 「肉そば」は、350ミリリットルのお湯でわずか10秒。カップ麺より早い。肉は噛むほど味が出て、麺もぐずぐずにならず、弾力があった。いずれも、お湯をかけただけとは思えない、というのが率直な感想だ。