10万円以上差がつくことも!「知っていると大違い」介護にまつわる支援やサービス
親の入院・介護に備える!基本のき#3
将来の親の入院や介護に備えて今からできる対策をそれぞれの専門家に聞く特集です。前回のきっかけ期、あたふた期に続き、最後はとまどい期に起こりがちな困りごととその対策を紹介します。介護保険や公的サービスをいかに活用できるかもポイントです。 ■本当に頼りになるのは誰?親の入院・介護であわてないために
教えてくれた人:後藤佳苗(ごとう・かなえ)さん
一般社団法人あたご研究所代表理事。看護学修士、保健師、ケアマネジャー。現在、ケアマネジャーに必要な知識と技術を伝える講演活動を全国で行っている。
とまどい期の困る1:実家が介護に適さず家族の負担増
■知っておく:費用の一部は介護保険で給付されます 親が一人で寝起きしたり、歩くのが大変になってきたら、まずは介護保険を活用しましょう。介護ベッドや杖などのレンタル費や介護リフォーム費用の一部が給付され、自己負担額1~3割で利用できます。 福祉用具購入費の給付限度額は同一年度で10万円。まず全額を事業所に支払いますが、後日申請すれば給付金が支給されます。また住宅改修費の上限額は20万円。支給を受けるには事前に自治体からの承認が必要。介護度によっては受けられないものもあります。 【例えばこんな福祉用具の購入費助成、レンタルができます】 ・介護用ベッドレンタル ・自動排泄処理装置レンタル ・車いすレンタル ・入浴補助用具購入 など 【例えばこんなリフォームができます】 ・段差の解消 ・便器の洋式化 ・扉の変更 など 自治体(練馬区)独自事業の例 ・浴槽の取り替え ・エレベーターの設置
とまどい期の困る2:家族のうち一人に負担が集中
■知っておく:公的サービスの活用で家族の負担減 介護保険のサービスには、自宅で利用できるサービスとして、市町村をまたいで利用できる「居宅サービス」と、原則として住んでいる市町村のみで利用する「地域密着型サービス」があります(下を参照)。利用するには、ケアマネジャーが作成したケアプランが必要(無料)です。 さらに自治体独自のサービスとして、訪問介護の回数や時間アップなど、介護保険の給付限度額を超えたサービスを提供する「上乗せサービス」、配食、寝具の洗濯など、介護保険の対象外のサービスを提供する「横出しサービス」があることも。内容は自治体によって異なるため、確認してみましょう。 ■基本サービス:地域密着型サービス 事業所のある市町村民に柔軟な体制で在宅介護生活を支援するサービス。 【定期巡回・随時対応型訪問介護看護】 24時間体制で、定期的または何かあったときに連絡するとホームヘルパーや看護師などが訪問し、介護や看護を行う。 【夜間対応型訪問介護】 夜間に、定期的または何かあったときに連絡すると、ホームヘルパーが訪問し、介護や日常生活の世話を行う。 【地域密着型通所介護】 定員18人以下の小規模なデイサービスセンターで、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練を日帰りで行う。 【認知症対応型通所介護】 認知症の方を対象にしたデイサービスセンターで、食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練を日帰りで行う。 【小規模多機能型居宅介護】 施設への「通い」を中心に、利用者の状況や希望に応じて、自宅に来てもらう「訪問」や施設への「宿泊」を組み合わせて利用できるサービス。 【看護小規模多機能型居宅介護】 小規模多機能型居宅介護のサービスに加え、「訪問看護」を組み合わせたサービス。 【認知症対応型共同生活介護(グループホーム)】 認知症のある方が少人数で共同生活をして、日常生活の介護や支援、専門的な訓練を行う。