4失点惨敗の森保Jはブーイングをどう受け止めたのか?「言い訳せず真摯に受け止める」
すべての理由を国内組にだけ帰結させることはできない。開幕から4戦全勝でグループFの首位に立つカタールワールドカップ・アジア2次予選だが、ともに敵地で戦った10月のタジキスタン代表戦、そして直近のキルギス代表戦では幾度となく冷や汗をかかされている。 ともにGK権田修一(ポルティモネンセSC)のファインセーブがなければ、結果がどうなっていたか分からない一戦だったと言っていい。キルギス戦で先発し、直接フリーキックから代表通算11ゴール目をあげたMF原口元気(ハノーファー96)は、戒めの言葉とともにベネズエラ戦を振り返る。 「いままでもアジアの戦いでギリギリのところで無失点が続いていたなかで、自分たちよりも能力の高い選手がいる国と対戦したときに、アバウトな守備をしているとやられるということ。逆に考えれば、いままではアジアの2次予選だからやられなかった、というのがあったと思う」 力の差があるアジア2次予選では勝利に覆い隠されていた感のある自分たちの現在地を、真剣勝負を挑んできたベネズエラが知らしめてくれた。そして、頭上から降り注いできたブーイングに触発されたのか。ハーフタイムのロッカールームでは、選手同士が厳しい口調で議論を交わしたという。柴崎が言う。 「厳しいというよりは、僕たちにとっては普通ですけど。厳しいかどうかはその人の主観なのでよくわからないけど、声を荒げたりしてもしょうがないというか、必要なときもあります。まずは『なぜこうなったのか』を冷静に話し合い、修正していこう、と。建設的な話し合いができたと思う」 前半は8本に対して5本と後塵を拝したシュート数で、後半は2本に対して7本を盛り返し、24分には途中出場のボランチ山口蛍(ヴィッセル神戸)のミドル弾で一矢を報いた。前線からの激しいプレスとともに戦う姿勢も取り戻した45分間を、後方から見ていた川島もポジティブに受け止める。 「経験をしなければ、前には進めない。いまの代表に新しい血を入れられるのは、自分を含めて新しい選手しかいない。その意味でも代表をより強くしていくためには、ベネズエラ戦に出た選手たちがもっと、もっと突き上げていかなければいけないと思っている」 ヨーロッパ組を含めたフルメンバーでの年内の活動は、ベネズエラ戦をもって終了した。しかし、国内組には失地回復の舞台が残されている。来月10日から韓国・釜山で開催されるEAFF E-1選手権は国際Aマッチウィーク以外の時期であり、シーズン中のヨーロッパ組の参加はほぼ不可能に近い。 「いいこともそうでないことも含めて、いろいろなことが見えた。長期的なプランに影響はない」 ベネズエラ戦後の記者会見で、森保監督はブーイングを次へつなげていくと力を込めた。悔しさとふがいなさを募らせた国内組が中国、香港、そして韓国と対戦するEAFF E-1選手権で奮起し、2020年へとつなげていく可能性を見せたとき、ベネズエラ相手に支払った高価な授業料が初めて生きてくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)