【大人の温泉グルメ旅】加賀の伝統美と絶景を満喫!日本海の幸を存分に味わう
川のせせらぎに癒やされながら、加賀棒茶とスイーツを
加賀温泉駅から、車で約20分(路線バスもあり)のところには山中温泉があります。今から1300年前に発見され、松尾芭蕉が奥の細道の道中で訪れたと伝えられる、歴史と文化の香り漂う温泉です。 多くの名所旧跡、ショップやカフェ、ギャラリーなどが建ち並び、街歩きが楽しい山中温泉ですが、温泉街に沿って流れる大聖寺川の渓谷「鶴仙渓(かくせんけい)」は、北陸随一といわれる景勝地。約1.3kmの遊歩道は、美しい自然の風景を眺めながら、のんびりと散策を楽しめます。 4月から11月までの期間には、この渓谷美を間近にゆっくり楽しめる「鶴仙渓川床」がお目見え。ここでは加賀棒茶と一緒に、山中出身の和食の料理人、道場六三郎氏が監修した特別な甘味をいただけます。 目の前に広がる四季折々の自然の風景を眺め、穏やかな川のせせらぎに耳を傾けながら、おいしいスイーツを頬ばる、他では味わえない極上の時間。優雅に癒やされるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか? 鶴仙渓には趣の異なる3つの橋があり、遊歩道を歩いて回れます。草月流家元である勅使河原宏氏が「鶴仙渓を活ける」というコンセプトのもとデザインされた「あやとりはし」は、S字に複雑に曲がった斬新なデザインの鉄橋が独特の景観を生み出しています。 昭和10年に架けられた重厚な石橋の「黒谷橋」や、総ひのき造りの「こおろぎ橋」などがあり、それぞれ自然に溶け込みながら味わい深い風景をつくり出しています。
麗しき加賀文化を満喫する宿「界 加賀」へ
いよいよ山代温泉へやってきました(加賀温泉駅からも山中温泉からも車で約10分)。本日のお宿「界 加賀」の前身は、創業が寛永元年(1624年)の老舗旅館「白銀屋」で、陶芸家の北大路魯山人も定宿だった旅館。 入ってすぐのフロントホールでは、北陸地方で多く見られる伝統構法「枠の内」という金物を一切使用せずに組み上げるの高い天井と木組み、立派な太い大黒柱がお目見え。国の登録有形文化財に登録されており、一見の価値ありです。 水引のアートオブジェが印象的に空間を飾り、伝統建築の中にモダンで新しい感性を紡ぎ出しています。九谷焼、山中塗、加賀友禅、水引など、加賀の伝統工芸が館内や客室のあちこちに散りばめられ、目を喜ばせてくれます。 山代温泉は、与謝野晶子や泉鏡花など、数々の文人墨客に愛された由緒ある温泉です。とろりと滑らかな泉質は「美人の湯」ともいわれています。 「界 加賀」の大浴場は、九谷焼の若手作家によるアートパネルが湯船の壁面を華やかに彩っています。色絵、青手、赤絵、藍九谷という伝統的な4つの技法で加賀の四季を表現。露天風呂との仕切りガラスには金沢金箔で白山が描かれています。金沢は日本の金箔の約9割以上を占めるという、一大生産地。夜の露天風呂は、湯船に月が浮かぶという風流な仕掛けも隠されています。 宿の食事にも、九谷焼の美しい器がふんだんに使われていて目をひきます。 これら九谷焼の器は、もし割れや欠けが生じた場合は廃棄することなく、伝統修復技法「金継ぎ」を施しますが、すべて館内の「金継ぎ工房」でスタッフ自らが直しを行っています。 修復の様子は公開し、金継ぎの解説を行っているほか、宿泊客も一緒に修復作業を体験できる「金継ぎいろは」があります。大変人気の講座なので、やってみたい方はぜひ! 夜は「ご当地楽」として無形民俗文化財に指定されている加賀獅子を観賞。迫力ある舞踏が毎日上演されています。八方睨みと呼ばれる独特の風貌の獅子頭は、彫りの深い顔付きがなかなか怖くて凄みがありますが、頭をパクッと噛まれると幸運が訪れるそうなので、ぜひ噛まれてみてください。 金沢は茶の湯文化が盛んで、京都や松江と並ぶ日本三大和菓子処でもあります。中庭に佇む有形文化財の茶室「思惟庵」では、茶の湯体験もできます。丁寧に淹れられた一服の茶をいただくと、すっと背筋が伸びるようなすがすがしいひとときを過ごせそうです。