【重たい加入義務】年金滞納、強制徴収もありうるが…老後に受け取る「平均的な年金額」は?〈公認会計士が解説〉
日本国民全員の心配事である「公的年金」の問題。いくらもらえるのか、もらった金額で足りるのか、不安は尽きない。ここでは、必ず知っておきたい年金の基礎知識を見ていこう。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説する。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
「公的年金」と「私的年金」の仕組み
年金とは、「65歳になってからもらうもの」というイメージがあるかもしれないが、実は年金にも様々な種類があり、65歳になってからもらう年金は「老齢年金」である。この「老齢年金」も仕組みごとに細分化されているが、大きく「公的年金」と「私的年金」の2つに分けられる。 「公的年金」は、国が運営する年金のことで、国民年金、厚生年金が「公的年金」に分類される。 「私的年金」は、公的年金に上乗せする年金で、会社員の場合は勤務先が運営する「企業年金」、自営業者の場合は「国民年金基金」が私的年金に分類される。最近話題の「iDeCo(イデコ)」も私的年金のひとつで、国が税金を優遇している。 日本の年金制度は「年金は3階建て構造になっている」という説明をされるが、それは下記図表のような構造となっているからである。 まず1階は、20歳から60歳までの国民全員が必ず加入している「国民年金」だ。その上乗せとして、会社員や公務員は「厚生年金」に加入し、これが2階に該当する。上述した通り、この2つを「公的年金」といい、国が運営している。どちらも強制加入で、保険料を払わなければならない。 この2つの上に3階部分として乗っているのが「私的年金」だが、名前の通り個人の任意で加入できる年金となっており、加入は本人の自由である。 年金制度の3階部分とされる私的年金だが、自営業・フリーランスや専業主婦(主夫)には2階部分にあたる厚生年金がないため、私的年金が2階という位置づけになる。 私的年金に該当する「企業年金」「国民年金基金」「iDeCo」だが、「企業年金」は、厚生年金とは別に企業が独自に運営する年金で、企業によって運営しているところとしていないところがある。「国民年金基金」や「iDeCo」は、それぞれの職業や立場に応じて、加入できる。 このように老齢年金は、職業や立場、本人の選択によって、1階から3階すべてを利用できる人もいれば、1階だけ、という人もいる。 また、このほかに、銀行、保険会社、証券会社など、民間の金融機関がそれぞれに金融商品として販売している「個人年金」もある。