ドジャース、世界一を奪還できた大きな理由とは!? ワールドシリーズでの戦略を徹底分析!【コラム】
“打撃力”はヤンキースが上回ったが…
チーム全体での勝利への意識も大きく貢献した。 実はドジャースはヤンキースよりもWS全体の打撃成績が低い。 LAD vs NYY ・打率 .206 ⇔ .212 ・出塁率 .296 ⇔ .332 ・長打率 .406 ⇔ 412 ・wRC+ 94 ⇔ 112 NLCSで大きな活躍を見せた大谷、マックス・マンシー、ベッツが調子を落とした中、米メディア『New York Post』 のJoel Sherman記者は、ドジャースの相手チーム分析が大当たりだったことを報じている。記事において、ドジャーススカウティング部門が選手たちに伝えたことを以下のように記している。 「ヤンキースは基礎より才能のチーム。走塁に目的意識と積極性を込めれば、ヤンキースは自ら瓦解する。ヤンキースが失敗する機会を創るためにボールをインプレーにすること。ヤンキースはあらゆる指標で最悪の走塁チームであるだけでなく、守備でも前に対戦したパドレスより大きく劣る。」 ドジャースの選手たちはヤンキースの弱点である守備に付け込む野球をした。まず三振をしないこと。ドジャースのワールドシリーズ全体で四球率、出塁率にどちらともヤンキースより劣っていた。 ところが三振率だけに着目するとヤンキースが21.8%に対してドジャースは18.1%だ。三振をできるだけしない、即ちバットにボールを当てヤンキース守備陣を動かすことによってエラーの機会を作り出す。 思えば第1戦での満塁ホームラン、第5戦で逆転したイニングはどちらも守備の穴を突いてチャンスを演出した。 第1戦の延長10回ではラックスの四球、エドマンがヤンキースのセカンド、オズワルド・カブレラがギリギリ届かないヒットでチャンスを作り、満塁の場面を作ったうえでのフリーマンのホームランだった。 第5戦の5回ではエンリケ・ヘルナンデスのヒットの後、エドマンのセンターフライをアーロン・ジャッジが落球、スミスのショートゴロをサードのチズムが送球を取り損ねて満塁となった。 さらにベッツのファーストゴロにコールがベースカバーを怠り得点につながった。この後フリーマンとテオスカー・ヘルナンデスがタイムリーヒットをそれぞれ放っている。 YouTubeチャンネル『Jomboy Media』が投稿した動画にてジャッジの落球は1塁ランナーを刺そうと欲が出た結果目線を外したことが原因であり、コールのベースカバー怠りは打球の方向・速度を見誤ったことが原因であることが明らかになった。 結果的にドジャーススカウティング部門の分析は大当たりであった。