米国の膨大な情報収集手法「外国人は問答無用」 日本には戦前の苦い記憶、憲法との整合性も【ワシントン報告⑱日本の能動的サイバー防御】
NSAが集めた情報はデータベース化され、中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)が分析や捜査に用い、米軍のサイバー軍は攻撃・防御に活用する。バイデン氏ら米大統領が毎日受ける国内外の情勢報告では、その60%が702条によって得られた情報に依存するとされる。 情報と攻撃を一体的に運用するためサイバー軍のトップはNSAの長官を兼ねる。能動的防御を自衛隊が担うとして、情報収集はどの機関が支えるのか。戦前の苦い記憶を持つ日本で、防御も情報収集も国民的理解は容易でない。 ▽トランプ氏「FISAをつぶせ」 702条延長の議論で、トランプ前大統領は「FISAをつぶせ」と反対した。FBIはトランプ氏が当選した2016年大統領選にロシアが介入した疑惑を捜査した。702条の情報を使って好き勝手に調べられたとの思いがあり、恨みは深い。 実際、FBIは702条で集められた個人情報を使って、米国人を捜査していたことが分かっている。今回、バイデン政権が当初目指した5年の延長ではなく、2年の延長に短縮された背景には、トランプ氏再選の場合、任期中に法律を葬れる含意がある。