京都で注文をまちがえる料理店「認知症への理解を深めて」
京都で注文をまちがえる料理店「認知症への理解を深めて」撮影:岡村雅之 THE PAGE大阪
料理の注文から対話が生まれ、やがて交流や共生へ──。認知症を抱える人たちが顧客をもてなす飲食店イベント「注文をまちがえるリストランテ@きょうと」が24日、京都市内で開かれた。認知症による記憶力の低下に伴い、注文をまちがえることがあるかもしれないが、まちがいを受け止め、まちがえることを一緒に楽しむ。認知症への理解を深める新しい試みを取材した。
認知症を抱える人たちが顧客をもてなす
このイベントを企画したのは、京都在住の平井万紀子さん。「まぁいいかlaboきょうと」を立ち上げ、社会問題を解決する活動に取り組む。テレビディレクターの小国士朗さんらが昨年東京で始めた「注文をまちがえる料理店」プロジェクトに共感し、京都で同じモデルのイベント開催を名乗り出た。 ホテルグランヴィア京都の宴会場を会場に、午前と午後の2部構成。キャストと呼ばれる認知症を抱えた人たち17人が、30人ほどのサポートスタッフの助けを借りながら、約110人の顧客に料理を提供した。顧客は料理代の会費を支払って参加した。 必死に注文を聞こうとするキャストと、分かりやすく注文を伝えようと努める顧客。最初はどちらも緊張気味だったものの、キャストが料理を運び始めると、徐々に会場の雰囲気が和らぎ、会話も弾んでにぎやかに。たとえ注文と異なる料理が届いても、寛大にまちがいを受け入れ、まちがいをともに楽しむことで、認知症への理解を深めることが、イベント開催の趣旨だ。 関西人の顧客は気配り上手で、ノリがいい。キャストの運んだ料理が手元へ届く。「私の注文した料理ではないけれど、同じテーブルの人の料理だからまちがっていません」と、向かい合う顧客同士で料理を交換してにっこり。ぎりぎりセーフだ。 キャストが料理を抱えたまま、テーブルの近くで迷っていたら、「あっ、その料理、わたしです」と軽く手を挙げて呼びかけ、キャストがまちがえないようにさりげなく持っていく。こちらも余裕でセーフ。顧客が少しだけ気を配るだけで、キャストの動きがスムーズになる。コミュニケーション能力に長じた関西人の知恵だろう。