激動の「選挙イヤー」、日本は与党惨敗 国際秩序の行方は【けいざい百景】
◆「停滞許されない」 日本貿易振興機構(JETRO)によると、通商関連の政策介入のうち、貿易投資に負の影響を及ぼす「阻害措置」の件数は23年に3509件に達し、19年(1180件)の3倍となった。かつて日本の経済力を高めてきた貿易だが、製造業の競争力低下などを背景に弱体化が進んでいる。 日本は近年、「透明、強靱(きょうじん)で持続可能なサプライチェーン」の構築を同盟国・同志国との間で進めてきた。産業補助金によって不当に安価に抑えられている製品の価格だけに着目するのではなく、製品やサービス、人権尊重への取り組みといった持続可能性などを考慮して調達を進めるのが柱だ。中国などによる重要物資や技術の囲い込みに対抗し、自由で公正な国際経済秩序を再構築しようとしてきた。 ただ、発足から1カ月が経過した石破政権は先の衆院選で大敗を喫し、政権基盤は大きく揺らいでいる。石破首相は「国政は一時たりとも停滞が許されない」と強調するが、党内外との調整に時間を割かざるを得ない状況だ。 米大統領選で勝利したトランプ氏は対中強硬姿勢を示しており、米中の分断がさらに進む恐れがある。世界の混迷は深まっており、日本が政局に時間を費やす間も時計の針は進んでいく。