【生理現象と労働】世紀の「大腹痛」で「30分」トイレに籠城……。その分残業する必要はあるでしょうか?
労働時間は、就業規則によって定められており、例えば遅刻や早退をして定められた労働時間分働かなかった場合、その時間分の賃金は差し引かれる可能性があります。では、トイレに行っている時間はどうなるのでしょうか。 そこで今回は、大腹痛で30分トイレにこもった場合を例に挙げて、その時間分、残業をする必要があるのかについて解説します。
トイレ休憩の扱われ方とは?
使用者の指揮命令下に置かれている時間であれば、「労働時間」と見なされます。そのため、例えトイレのために一時的に席を離れたとしても、すぐに戻って仕事をするのであれば、指揮命令下から離れたとはいえません。 そのため、一般的にはトイレの時間も労働時間として取り扱われることになります。では、トイレが長引いてしまった場合はどうなるのでしょうか。 この場合は、厚生労働省が策定した「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が参考になります。同ガイドラインでは、作業時間の管理について以下のことが求められています。 ・1日の作業時間が長すぎないようにする ・1時間以内で1サイクルとし、サイクルの間は10~15分作業を休止する ・サイクル中にも1、2回の小休止を取る 1時間のサイクルのうち、小休止を取ったり、次のサイクルに移る前であれば10~15分休止したりしてもよいのであれば、トイレに行っても問題はないでしょう。とはいえ、例に挙げた人のように30分もトイレのために席を外すとなると、ガイドラインに定められた作業休止時間を大幅に超えてしまいます。 この場合、30分多めに残業をしたりその分賃金が差し引かれたりしても仕方がないように感じてしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、基本的には残業も賃金のカットもありません。なぜなら、仕事をさぼっていたり単にリフレッシュのためにお茶を飲んだりしていたわけではなく腹痛でトイレにこもっていたからです。 労働契約法第五条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定められています。腹痛でトイレにこもるという行為は、まさに労働者が身体の安全を確保する行為といえます。 しかし、30分も離席した場合、上司が「さぼっていた」と勘違いするケースもあるでしょう。基本的には、トイレに行ったことは報告する義務はありませんが、場合によっては「腹痛でトイレにこもっていた」という事情を打ち明けたほうが疑われずにすむでしょう。