バイデン氏、アサド政権崩壊は「歴史的な機会」 反体制派に懸念も
シリアのアサド政権の崩壊を受け、バイデン米大統領は8日、ホワイトハウスで演説した。「長い間苦しんできたシリアの人々にとって、より良い未来を築く歴史的な機会だ」と強調する一方、反体制派の一部にはテロと人権侵害の「残忍な記録」があると指摘。シリアの安定化に向けた支援を実施するとともに、情勢を注視する考えも示した。 【写真まとめ】シリア・アサド政権崩壊 反体制派が首都制圧 バイデン氏は、過激派組織「イスラム国」(IS)がシリアの混乱に乗じて再び勢いを取り戻さないよう、シリアに駐留する米軍がISの掃討作戦を続ける方針を説明。8日に米軍がISのキャンプなどを標的に空爆を実施したことを明らかにした。 米政府は、反体制派を主導する「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS)をテロ組織に指定している。指導者のジャウラニ氏は、かつて国際テロ組織「アルカイダ」系の戦闘員として活動したことがあるが、最近の米CNNテレビのインタビューでは、キリスト教徒や少数派を擁護する姿勢を見せ、権力を掌握した場合には、国民に選ばれる議会を設立する方針も示している。 バイデン氏は演説で「彼らは今正しいことを言っているが、行動でも評価することになる」とし、法の支配や少数派の保護を要求。その上で、シリアの新政府樹立に向けて「あらゆる勢力」と対話することに前向きな姿勢を示した。【ワシントン松井聡】