<私の恩人>「ピース」又吉、「チュートリアル」にコンビとしてのきっかけもらった!
初執筆の純文学作品「火花」(3月11日単行本化)が月刊誌「文芸界」に掲載され、作家としても注目を集めているお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん(34)。吉本興業のオシャレ芸人ランキングでも1位になるなど、オンリーワンの存在感を放っていますが、その礎を築いたのは先輩コンビ「チュートリアル」でした。 「チュートリアル」さんとの出会いは、もう10年ほど前になりますけど、お二人が毎週月曜日にMCをしてらっしゃった「ワイ!ワイ!ワイ!」(CSチャンネル・ヨシモトファンダンゴTV)という番組でした。そこに僕らがアシスタントとして出していただくようになったんです。 当時は「ピース」を組んで1~2年くらいで、ちょこちょこ若手の劇場に出る以外の仕事はなくて、劇場ギャラも1回500円という状態でした。 お二人と面識があったから呼ばれたとかではなく、純粋に番組サイドのブッキングの流れでご一緒させていただくことになりました。だから、当然こっちは構えるわけです。僕は大阪出身ではあるものの東京に来て芸人を始めてますんで、プライベートでのお付き合いも全くありませんし。 ま、ウチの相方(綾部祐二)は社交的なんで、そら、もう速攻でお二人に気に入られてましたけど、僕は「どうしたものか…」と迷いましてね。ナニな話ですが、相方は胸毛がしっかり生えてるんですけど、僕も少しだけ生えてまして。なので、楽屋で着替える時に、先輩に胸毛を見せるのは失礼やと思って、ずっと後ろを向いて着替えるくらいの距離感でした(笑)。 ただ、振り返ってみると、その番組には今の「ピース」としての要素がすでにギュッと詰まってたんです。 まず、相方で言うと、徳井さんが先生で「ピース」が助手という設定で、3人が白衣を着てエロいことを報告し合うというコーナーがありまして。そこで、何と言いましょうか、相方の変態性が開花したと言いますか、表舞台に出たと言いますか(笑)。相方が出すエロの要素の原点がそのコーナーやったんです。 僕で言うと、自分の好きな本の一節を読んで、自分なりの解釈をしゃべって、カメラ目線で「文学…」とつぶやいて終わる(笑)。なんともシュールなコーナーではあるんですけど、お二人がおもしろがってやらせてくださったんです。 相方の“エロ”、僕の“本”。見事に今の仕事に直結することを、その時点からやらせてもらってたんですよね。それも、テレビの仕事に不慣れな僕らがやりやすいように、得意分野を出してあげようというお二人の優しさから生まれたものやったんで、考えれば考えるほど、ありがたい話やと思います。