台湾野党主導で可決された立法院権限強化法、主要部分で「違憲」判断 頼政権は大打撃回避
【台北=西見由章】台湾の憲法裁判所にあたる憲法法廷は25日、野党主導で可決、施行された立法院(国会に相当)の権限を強める関連法について、主要部分を違憲とする判断を示した。頼清徳総統が主席を務める民主進歩党は立法院で少数与党に転落しており、関連法が大筋で合憲と判断された場合に予想された政権運営への大きな打撃は回避した形だ。 憲法法廷は改正立法院職権行使法が定めた総統の年1回の情勢報告について「憲法上、拘束力はない」と指摘。同様に総統の答弁を義務化した点についても「憲法が定める権力分立の原則に抵触する」とした。 また、当局や企業などに対する立法院の調査権限拡大を巡っても、証言や資料提出を拒否した場合の罰則規定について「憲法が定める立法院の職権を逸脱する」と判断するなど、調査権限の拡大をおおむね否定する内容となった。 また、公務員が立法院での質疑で虚偽の答弁をした場合に懲役刑や罰金を科す改正刑法の「国会蔑視罪」についても「刑罰によって政治責任を追及するのは不当」と違憲判断を下した。 一方、政府機関人事への同意を巡る権限強化などについては一部合憲とした。 関連法案は、最大野党の中国国民党と第2野党、台湾民衆党が与党追及を狙って5月下旬に可決。行政院(内閣)が再審議を求めたが6月に再可決、施行された。頼総統と民進党の立法委員(国会議員)団などが違憲審査と関連法の停止処分を請求し、7月から関連法の一部が停止していた。