政治家への課税、高いハードルなぜ?国税当局の判断は「正義」か 裏金議員への追徴1億3千万円試算の浦野広明税理士に聞く【裏金国会を問う】
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題が連日国会で取り上げられている。そうした中で多く聞かれるのが、「派閥から議員側に還流され、政治資金収支報告書に記載されなかった『裏金』に税金を課すべきだ」という意見だ。 しかし、岸田文雄首相は「いずれも政治活動に使われた」として「課税の必要なし」の立場を崩していない。政治家への課税には、なぜ高いハードルがあるのだろうか。裏金を受領した議員らの追徴額は約1億3千万円に上る―。こうした試算を発表した元立正大法学部教授で税理士の浦野広明さんに聞いた。(共同通信=助川尭史) ▽利益率高い政治資金パーティー、課税対象では? ―政治資金には原則税金がかかりません。なぜでしょうか。 「政治活動は『公益性がある行為』と見なされているため、かかった費用は課税対象になりません。一方で、政治家が個人的なことに使えば雑所得となり、課税対象になります」
―今回問題になった政治資金パーティーは、会場こそ豪華ですが、食事は唐揚げやフライドポテトなどのジャンクフードが中心で、利益率が相当高そうです。 「政治資金パーティーでは、参加者から集めた収入から経費を差し引いた残額を政治資金としています。しかし、裏金づくりの舞台になった自民党派閥の政治資金パーティーは利益率が8~9割に上るとされており、この割合の高さを考えれば、法人税の対象となる『収益事業』と見なしてもいいのではないでしょうか」 ―安倍派を中心に、多くの議員が販売ノルマ超過分を派閥から受け取りながら、自身の政治団体の政治資金収支報告書に収入として記載していませんでした。安倍派では事務局が議員側に「記載するな」と指示していたそうです。「政治資金」と言えるでしょうか。 「いえ、政治資金とは言えないと思います。使い道が何であれ課税対象にするべきでしょう」 ▽何ら課税されない政治資金、違法な不作為だ