300km/h超えが許された最後の時代──日本の名車100選【平成9~12年編】
YAMAHA YZF-R7──スーパーバイクレースもR系へ
スーパーバイクの750ccレギュレーション末期には、兄弟車となるR7も登場。やがてレギュレーション変更でR1そのものがレースの舞台でも主役となるのだ。 【YAMAHA YZF-R7 平成11(1999)年】主要諸元■水冷4ストローク並列4気筒DOHC5バルブ 749cc 106ps 7.4kg-m■176kg(乾)
HONDA VTR1000SP-1──打倒ドゥカティ、ホンダ本気のVツインレーサー
スーパースポーツ人気の高まりとともに国産メーカーには見過ごせない存在も大きくなっていた。それはLツインのドゥカティだ。気筒数が少ないぶん軽量に仕上げられ運動性に優れ、図太いトルクと排気音も4気筒に慣れたライダーたちには新鮮でシェアを伸ばしていた。そこで国産メーカー各社も2気筒スポーツを続々と発売、これに対抗していくことになる。さらにホンダはSBレース用にホモロゲーションモデルのVTR-SPも投入。想定速度域が非常に高く、公道で普通に乗っていたらガチガチでまったく動かないサスなど、完全にレースベースを前提とした仕様となっていた。当時のホンダのトレンドのひとつだったサイドラジエターも印象的。 【HONDA VTR1000SP-1 平成12(2000)年】■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 999㏄ 136ps/9500rpm 10.7kg-m/8000rpm■199kg(乾)■F=120/70ZR17 R=190/50ZR17 開発はHRCが主導。一般的なカムチェーンのVTR1000Fに対し、SP1/2はカムギアトレーンでエンジンは別物。車体も然りだった。
SUZUKI TL1000R──ライバルも野心的Vツインスーパースポーツで対抗
ホンダとともに積極的にVツインスーパースポーツを開発していたのがスズキだ。最初にアルミ製トレリスフレームのTL1000Sを投入。次にVTR-SP同様にツインスパーフレームで剛性を高めたレース用のTL1000Rを送り出した。エンジンはセミカムギヤトレーンを採用して高パワーを発揮。車体もロータリーダンパーサスペンションなど意欲的な機構が盛り込まれていた。 【SUZUKI TL1000R 平成9(1997)年】主要諸元■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 996cc 137【126】ps13.5【10.7】kg-m■192【187】kg(乾) ※【 】内はS ホイールベース短縮策として編み出されたのがダンパー部を回転式別体型とするロータリーダンパー。ただ、うまく機能しなかった。